【楽しい100人 Vol.15】仕事の面白さ、社会に関わる楽しさを学生たちに…エンブリッジ代表理事 浜中裕之氏
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「みなさん、インターンシップ(以下、インターン)という言葉をご存知ですか?元々は医療現場の研修医制度に使われていた言葉ですが、今は学生が企業で就業経験を積むことを総称して呼んでいます」
浜中氏がインターンを経験したのは大学2年生の時。遊びに忙しかった1年生から2年生になり、このままではいけないと大学の教授に紹介してもらったのが、札幌の小さなベンチャー企業だった。当時の社長は、営業、提案、契約まで広告に関する仕事を任せてくれ、多い時は20~30件のクライアントを抱え、月に1回は東京に出張も行っていたという。
「できないことをやりなさい。できることをやってもあなたも会社も成長しない。という事を社長から日々言われ続けました。なので、できるようになると怒られるんです。いつまでやってるんだ、次に行けと(笑)。何もできない、意欲だけの自分に会社の大事な仕事を信頼して任せてくれる、すごいなと思いました」
この頃、自分のように悩んでいる学生も、この社長のように若者に任せたいという企業も、たくさんあるはずだと思いはじめる。3年生になると、社内で始まったインターンのコーディネート事業に志願し、面白さや魅力のある会社と大学生をコーディネートを始める。そして4年生のとき、転機が訪れる。浜中さんのインターン先の会社が閉鎖されることになった。「これからだと思っていたプロジェクトもたくさんあったので、会社をたたむという経験をして、とても悔しかった」
東京の大手の広告代理店に行こうと就職活動を進めていたが、気持ちが留まる。自分が送り出した学生がインターン先で自信を持ち成長していく姿や、社員が学生を助け、仕事を任せるようになり、社員自身ももっと挑戦していかなくてはいけない、というような気持ちの変化を目にしていた。こういうことが地域にもっと広がったら何か変わっていくのではないか、自分でやってみたいという思いが強くなる。自身もインターンで得難い経験をしただけに、その心は揺らがなかった。
「東京で就職しても自分の代わりは他にいる。そして今、目の前にはやりたい事がある。5年、10年後、家族や役職を捨てて、ここに戻って来られるかを考えた時、きっと今やらないとできない」そう思い、親や親せきの反対を説得して創業することを決断した。
経産省が後援する「チャレンジコミュニティー創成プロジェクト」特別研究員に認定され、全国10数カ所を回って、若者が地域で挑戦するためのワークショップや後援をし、その委託費をためて創業資金とし、卒業間近に任意団体を設立。2012年には法人化し、NPO法人エンブリッジを設立した。現在は専従スタッフ1人と、数名の学生のインターンがおり、8割が企業からの会費で運営されている。
送り出す学生インターンは、長期の休み期間はフルタイムで働き、学校がある時は授業後に会社に行く。「バイトとの併用は禁止です。授業時間割や単位の取得状況を提出してもらい、判断することも。企業との調整後、面接をし合否を出す。また時に、大学の先生に協力して頂き、授業に支障をきたすと報告が入る状況を作ることもあります」
ある不動産会社の新規テナント事業の事例では、学生インターンが札幌市内のビルを徹底的に回り、WEBに掲載したテナント情報には道外からも問い合わせが来るようになった。またメイドカフェを作りたいと要望にはヒアリングから同行視察、開業までサポートし、売り上げにつながるところまでをサポートした。この学生からは「不動産は人のスタートに立ち会える仕事なんですね。自分がビルをまわっていたのも無駄ではなかった。不動産はいい仕事ですね」という感想が聞けたそうだ。企業側もインターンを採用することで、新しいプロジェクトが動く起爆剤となることもあるという。
今は5つの大学と連携した共通のインターンプログラムを作りや、地域全体で若い人を育てる取り組みに力を入れる。札幌か東京かではなく、地域で働くという選択肢も作っていきたいそうだ。
「学生たちには、仕事は誰かのための試行錯誤であり、その上でお金をもらう、ということを実感させるのが大切だと思っています。仕事を作る楽しさを経験してもらう。それを大学4年間で人の役に立つ経験を積み重ねてもらい、こういう人たちの役に立ちたい、だからこの会社に行こう、会社を作ろうと思ってもらえるような経験をできる場が札幌にできればよいなと思い活動しています」
最後に浜中さんはこう会場に呼びかけた。
「挑戦の場があれば教えてください。まわりに、この人の背中は是非追いかけて欲しいという人がいれば声をかけてください。その背中を見て学生たちが俺らもやろうぜ、と思うようになります」
挑戦するのは学生だけではない。挑戦する大人たちの姿を見るからこそ、学生が育つのだ。若い力を借りて一歩を踏み出してみるのもよいかもしれない。
《RBB TODAY》
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