【CEATEC 2015】非接触のフォースで空中グラフィックス……名古屋工大
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
これは、モノに触れることなく、1.6gf程度の触覚(非接触の力)を提示することで、新たな展開を狙える技術だ。モノに触らずに物体を動かしたり、さまざまな応用が考えられるという。
この空中触覚インターフェイスは、285個の超音波振動子を並べて、各振動子の超音波の位相を独立にコントロールすることで、任意の位置に波の位相が重なるようにしている。いわゆる「超音波収束」と呼ばれる技術で、東京大学で進められている研究と同様のものだ。
利用シーンとして考えられているのが、京都大学と共同で研究されているイチゴやトマトの人工授粉だ。花びらに非接触で力を加え、花粉を均一に飛ばすことによって、人工的に授粉が可能になる。自然の風だと、花粉が拡散してしまうが、この方法では効率のよい授粉が行えるそうだ。
軽い発泡スチロールのようなものなら、空中に浮かすことも可能だ。それを応用した空中グラフィックスの研究も東京大学と共同で行われている。2つの空中触覚インターフェイスを対向させると、両側から力がかかって均衡点が生まれ、発泡スチロールのビーズが空中で静止するという仕組みだ。そのビーズにプロジェクターの映像を当てると、いろいろな表現が可能になる。
また、シャボンの膜をスクリーンにする研究も行われている。通常ではシャボンの膜は透過性が高く、虹模様が見えるだけで、プロジェクターで映像を映し出すことは難しい。しかし、超音波収束でシャボン膜に微細な振動を与えることで、光が散乱するするようになり、映像が見えるという。超音波の振動をオンオフすれば、瞬時に映像もオンオフされる。
現在、非接触な力は1.6gfだが、超音波振動子の数を増やしたり、電圧や周波数を上げることによって、さらに大きな力を発生させることも可能だという。将来的にサルやイノシシなどの野生動物を撃退したり、超能力的なフォースの力を発揮できるようになる可能性もあり、今後の研究の進展に期待したい。
《井上猛雄》
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