【次世代農業EXPO】農薬散布にドローン活用! 完全自動飛行を実現した専用マルチコプター
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
これは宇都宮大学と共同開発した試作機。これまでの無人ヘリコプターでは難しかった小規模な変形圃場に対応できる点が大きな特徴だ。通常のGPSによるコントロールでは3m程度の誤差が出てしまうが、同機ではオプティカルフローやソナーなどのセンサーを備え、カメラで撮影した圃場の形を自動認識させ、正確な位置制御と散布制御を行っているそうだ。
担当者によれば「散布の精度を高めるために、位置誤差10cm以内を目指している。現在は圃場に色付きのポールを立てて範囲を認識しているが、将来的には畦道と作物の境目を識別できるようにしたい」という。
実はマルチコプターは、高度制御も難しい。同機の場合は、ソナーや気圧センサーなどを用いて高さを制御することで、稲の穂先から30cmという低空飛行が可能だ。これにより機体の真下から伸びる4カ所のノズルから、正確で均一な散布が行えるようになった。一回の飛行で約80アール(散布量6リットル)の圃場に散布できるという。
操作も非常に簡単だ。熟練者でなくてもタブレットのマップ上をドラッグして、散布したい範囲を任意に指定するだけでよい。マルチコプター本体とタブレットに加え、農薬散布する圃場の登録や履歴管理などが可能なクラウドサービスも用意している。これらの3点セットで、年間80万円(3年契約)でレンタルできるため、手が届きやすい料金といえるだろう。
また、ライフインのブースで紹介されていた農業用システムドローンも興味深い製品だった。こちらは中国メーカーの本体をカスタマイズしたもので、GPSオートパイロットシステムなどを備え、自動飛行が可能だ。
小規模農家から大規模農家までに対応し、本体に搭載ユニットを交換することで、農薬散布以外にも肥料の散粒や、荷物の運搬、空撮、ロープ延線など、目的と用途に合わせて対応できるという。
「ドローンを使うことで、省力化と省エネ化を実現できるため、これから農業が変わると思う。農薬や肥料も効率的に撒けるようになる。我々は、必要な栄養素を凝縮した空中散布専用のBB球も用意した」(担当者)。
同機の搭載タンク容量は5~10Lで、1回あたりの飛行で約70~150アールの散布が行える。価格はユニットによって異なるが45万円から。
《井上猛雄》
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