【国際ロボット展】進化を遂げた、“茎をつかんで”イチゴを収穫するロボット
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
同大学では15年前から画像処理によってイチゴを見分ける研究を実施。10年前にはイチゴを自動で摘果するロボットを開発した。さらに、2号機ではイチゴを等級別に分類し、ロボット上で1個ずつ専用容器「フレシェル」に封入する仕組みを確立している。出荷はこのフレシェルのまま行うことができ、収穫後にイチゴに傷をつける心配がない。
また、茎をつかんで摘果するとイチゴが長持ちするという農家の話を元に、農学部と共同研究を進め、その効果を実際に確認。イチゴの茎を認識し、それを掴んで摘果する機能を備えた3号機を開発している。この果実の茎を掴むという動作については、当時のロボットとしては日本初の取り組みだったということだ。
宇都宮大発のベンチャー企業「合同会社工農技術研究所」では、この3号機を利用して土地の品種であるスカイベリーを収穫。茎から摘果することで、従来では2日から3日しか保存できなかった完熟スカイベリーを、3週間に渡って鮮度を保たせることに成功している。このスカイベリーという品種は熟してくると糖度が一気に上がるが、流通を考えて未成熟状態で摘果するとちおとめなどの品種に糖度で劣っていたという。また、白い未成熟な果実を紫外線を照射して赤くしても甘く熟さないことも問題だった。
しかし、今回成熟したイチゴを収穫できるようになったことで、工農技術研究所ではこれを国際味覚審査機構(ブリュッセル)が主催する「Superior Taste Award」に出品。日本で初の2つ星を受賞している。来シーズンからはこのイチゴの出荷を計画しており、有名ケーキ店のパティシエなど、海外での大口需要を狙っているとのことだ。
また、3号機を元に収穫ロボットについても現在製品化を検討しており、それに向けた作業の効率化を図っているという。具体的には収穫ロボットと、果実を保存するロボットを分けて、ストッカーがあふれることなく、作業を継続できるようにする計画だ。また、ロボットのモジュール化も検討しており、収穫だけでなく、カメラでのビッグデータの取得、農具の運搬なども行える仕組みを考えているという。
将来的にはカメラで撮影した映像を元に、イチゴを個体識別して、オーナー制度のような形で販売する形を考えているという。イチゴの成長モデルも作っているので、先物買いのような仕組みも作れるのではと検討中とのことだ。
【国際ロボット展】完熟イチゴの鮮度を保つロボット、ポイントは“茎摘み取り”
《丸田鉄平/H14》
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