【新着!防犯トレンド】労働人口の減少を見すえた警備ロボット「KB-BOX」
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
●目と口と耳の機能を備えた警備ロボット
一般的に“ロボット”というと、いわゆる人型のものをイメージするが、「KB-BOX」はそうした典型的なロボットのイメージとは異なる。約120cmの高さの長方形のボックス型で、特定の場所に固定設置して使うという運用方法なのだ。
では、なぜ“ロボット”というのか? その質問をぶつけると保坂氏は次のように語った。
「そもそも「ロボット政策研究会中間報告書」でまとめられた“ロボット”の定義によれば、『清掃、警備、福祉、生活支援、アミューズメント等多様な用途に関し、サービス事業や家庭等の場において、人間と共存しつつサービスを提供する“サービスロボット”として、定義することとした』となっています。それを踏まえて『KB-BOX』に当てはめると、人間の目と耳と口に代わる機能を有しています。目がネットワークカメラ、耳がマイク、そして口がスピーカーです」
ここで改めて「KB-BOX」ができることをまとめると、ネットワークカメラを使った遠隔地からの映像監視、設置場所と監視センター間の音声通話、音と光による警告や威嚇の3機能を基本に、多様なセンサーを用いた、本体のイタズラや盗難監視、さらにはオプションの湿度センサーなどを用いた気象監視が可能だ。複数の「KB-BOX」を連携させれば、複合的なデータの収集&解析も行える。
また、屋外運用を想定しており、高機能な警備ロボットでありながらも設置スペースさえあれば工事不要で導入できる手軽さは大きな特徴といえるだろう。本体にはキャスターが付いているので、可搬運用や再設置もしやすい。
電源に関しては、内部バッテリーと外部接続(AC100V)を搭載。内部バッテリーを使った非常時の運用や、オプションとなるが太陽電池にも対応しているので、電源工事不要の設置も行える。採用しているネットワークカメラの画素数は1,280×980ピクセル、「KB-BOX」本体はIP44の防水・防塵使用となっており、今後はIP56をクリアしたモデルの開発も進めているとのこと。
●屋外の機械警備を想定したさまざまな機能
またコンセプトについて保坂氏は、次のように語る。
「警備業界において屋内向けの機械警備関連の技術はかなり充実している感はありますが、屋外警備用となると、電源や通信の確保が課題となり、十分な製品ラインナップを揃えているとはいえません。もちろん屋外監視用製品といえば防犯カメラがありますが、“機械警備”という視点で考えると、カメラ機能だけでは不十分なのです。それらがビジネス的な開発理由で、背景には少子高齢化に伴う労働人口の減少問題に対する私たちなりの対応策を示したかったと社会貢献的な意味合いもあります。KB-BOXなら、通信機能により、リアルタイムで警備センターと映像と音声を繋ぐことができますし、登録したスマートフォンやタブレットから映像の遠隔監視も可能です。他にも光と音による警告や威嚇機能や、各種センサーによるデータ収集ができるので、結果として屋外でも機械警備+αのメリットをお客様に提供できます」
ほかにも屋外設置を想定しているからこその工夫もあるという。それが「KB-BOX」のデザインだ。屋内に設置にすればオフィスビルなどに調和しそうなスタイリッシュなデザインだが、屋外に設置した場合には逆にそのデザインが目を引くことが予想される。
実はこれこそが狙いで、犯罪企図者に対して“見られている”ということを自覚させることでの防犯効果を目的にしている。また、高さ1,187×幅420×奥行420mmという存在感のあるサイズも屋外設置での犯罪抑止効果を狙っているそうだ。
●定点監視+短期運用を想定
実際にどういった屋外運用が想定されるかといえば、通学路の安全監視。映像監視はもちろんのこと、何かあった時には、KB-BOXと監視センターで音声通話ができたり、音や光による警告や威嚇(オプション)も可能。すでに電源の確保がされている自動販売機などとKB-BOXを一緒に設置すれば、より簡単な設置も実現する。もちろん通学路だけでなく、駐車場や駅、収穫期の畑や田んぼの定点監視などにも活用できる。
また、運用期間が限られていて監視カメラの設置が手間的にもコスト的にも難しい工事現場やイベント会場などでのスポット運用にも最適だ。上記のような防犯用途での活用のほかにも、鳥獣被害対策としての活用や、カメラとセンサによる河川や山間部の監視などの防災用途にも活用できる。
●ビジネスモデルは端末販売とシステム利用料
では保坂氏が考える「KB-BOX」のビジネスモデルはどんなものか? 大きく2つの軸があり、1つはKB-BOX自体の販売による収益。そしてもう1つが、KB-BOXで得たデータの管理・運用を行う監視システムの月額利用料による収益を想定しているという。
システム利用料は非公開となるが、10台以下の運用の場合は、一律の月額利用料となり、11台以上は基本料金に1台追加ごとに料金がプラスされる従量課金制となる。また、一定の台数以上は追加料金の1台当たりの単価が安くなるそうだ。
そして想定する導入先は、自治体や官公庁などの公共機関、そして「KB-BOX」を使ったサービスプランの提供を考えている警備会社などとなる。なお、現在発売中のKB-BOXの製品型番は「KB 1.0」となっており、今後のさらなるバージョンアップを見すえた型番であることが分かる。
●次に考えるのは0円ホームセキュリティ
今後の展望について保坂氏は、「当社がセキュリティ機器関連で次に考えているのは、“ユーザー自己負担0円のホームセキュリティ”です。従来のホームセキュリティのビジネスモデルとは一線を画していて、来年3月くらいには具体的なお話ができると思います」とコメント。セキュリティショーへの出展も予定されており、「KB-BOX」も含め、0円ホームセキュリティの詳細にも注目したい。
《防犯システム取材班/小菅篤》
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