車載人工知能エンジン「NVIDIA DRIVE PX 2」の全貌とは
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以前発表された「DRIVE PX」の第2世代となる「DRIVE PX 2」は、人の脳に近いプロセスを行うニューラールネットワークを用いたディープラーニング(いわゆる機械学習)を特徴としている。これにより、自律走行車にスーパーコンピューター並みの人口知能を持たせることを可能にしたという。
◆車載モジュール「DRIVE PX 2」
前世代の車載モジュールは、現行のGPU(グラフィック・プロセス・ユニット)アーキテクチャ「Maxwell」ベースの統合型プロセッサである「Tegra X1」を2個搭載していたが、「DRIVE PX 2」では次世代GPUアーキテクチャ「Pascal」ベースのGPUが2個と次世代版「Tegra」が2個搭載されており、1秒間に24兆回の演算を可能にしている。これはMacbook Pro150台分の演算性能に相当するが、ランチボックスサイズの大きさに収まっているのだとファン氏は述べている。12個のビデオカメラやネットワーク用のコネクタ類を搭載しており、LIDAR、レーダー、超音波センサーにも対応している。モジュールの冷却は液冷式で行われる。
PC用GPUにかけては世界シェアトップクラスであり、以前よりGPGPU(GPUでCPUと同じ演算処理をさせる技術)の開発環境「CUDA」を提供しているエヌビディアにとって、「Drive PX 2」は存分にそのノウハウを活かせていると言えそうだ。
◆カメラや超音波センサーによる空間認識
「DRIVE PX 2」にはビデオカメラだけでなく、3次元的に周囲の認識が可能なLIDAR(光を用いたリモートセンシング技術)や超音波センサーに対応しており、「Nvidia DriveWorks」という開発環境も用意されている。カンファレンスで公開された試験映像では、車両に取り付けられた6つのビデオカメラが周囲を走行する他の車両を種類ごとに判別する様子や、LIDARなどセンサーを用いて周囲の状況をリアルタイムで3次元化して状況認識する様子を見ることができた。これにより自律走行車は、並走する車の状況をリアルタイムで判断し、最も安全なルートの算出を常に行なう。
◆ディープラーニングによる人工知能
ディープラーニングによるAI技術は、トヨタをはじめとした大手各社が自律運転技術への応用を急いでいる分野だ。「DRIVE PX 2」のニューラルネットワークによるディープラーニングでは、道路のあらゆる状況や物体を学習する。車両の各部に搭載されるカメラやセンサーにより、道路の状況、標識、通行人、自転車、バイクだけでなく、悪天候や工事現場、道路の破損、さらには稀に道路に出没するあらゆる野生動物ですら学習し、AIが判別するようになる。また、カメラが凍りつくなどしてモニタリングできなくなった場合、車両に搭載されている別のカメラにAIが自動で切り替えを行う。
エヌビディアのハードとソフトウェア、そして自律走行者がネットワークで繋がることにより「End-to-End」のニューラルネットワーク環境が構築される。ディープラーニングはネットワーク上のあらゆる場所で行われ、データはクラウドにも蓄積されるという。同社はそれらを可能にするディープラーニング用ソフトウェア「Drive Net」の開発も現在進めている。
◆CES会場に展示されていた試験車両
CES会場のエヌビディアのブースには、ビデオカメラによる物体の認識がどのように行われているかわかる試験車両が展示されていた。車のフロント部分は常に水が流れる装置が演出されており、、雨天の視界不良時でも人を正確に識別できていることが上部に設置されたスクリーンでわかるようになっていた。同ブースには「DRIVE PX 2」モジュールの実機や、カンファレンスで用いられた模型の展示も行っていた。
「DRIVE PX」による人工知能プラットフォームは、アウディ、BMW、ボルボ、フォード、メルセデスベンツをはじめとした自動車メーカーや多くの研究機関が採用している。
車載人工知能エンジン「NVIDIA DRIVE PX 2」の全貌…自律走行を実現するディープラーニング
《Daisuke Sato@Game*Spark@レスポンス》
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