IoTの波は教育にも……“スマートトイ”が続々
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◆ソニーの最新スマートトイが体験できる教室
今回は、そうしたスマートトイを積極的に活用している子ども向けの教室「Qremo(クレモ)」を取材した。2014年に設立されたQremoは、未就学児や小学生向けに学習塾を運営しているLITALICOによる“IT・ものづくり”の教室。「Scratch(スクラッチ)」などを使ったプログラミング講座だけでなく、レゴのマインドストームで学ぶロボットテクニカルコース、3Dプリンターやレーザーカッターなどを使ったデジタルファブリケーションコースなど、モノづくりにこだわったコースを取り揃えているのが特徴だ。現在は渋谷と池袋、川崎に教室があり、2016年2月からは新たに横浜校もオープンする。
Qremoでは、年末から年始にかけて冬季限定のイベント「WINTER LAB」を開催し、さまざまなワークショップを行った。今回取材した講座は、2015年にソニーが開発・販売を開始したスマートトイ「MESH(メッシュ)」を使ったものだ。MESHは、「MESHタグ」と呼ばれるブロック状の電子タグツールとiPadの専用アプリと連動させ、「音を鳴らす」「LEDライトをつける」「iPadのカメラで撮影する」など、さまざまな仕掛けを作成できる。最大の特徴は、MESHタグの中にボタンやLEDライト、温度/明るさセンサーなどの機能があらかじめ内蔵されている点。はんだ付けや電子回路の技術や知識がなくても、タグとアプリを組み合わせることで、複雑な仕組みを簡単に作れるのだ。
◆配線もはんだごても不要な電子タグ
このコンパクトなスマートトイを、スマホネイティブな子どもたちは果たしてどのように活用するのだろうか。
「WINTER LAB」のうち、MESHを使った講座に参加した生徒は、小学1年生が2人、小学2年生の全3人。Qremoでは、学年で講座をわけていないため、未就学児から中学生まで、幅広い年齢の子どもたちが毎回参加しているという。この日は低学年ばかりだったが、別な日に行なわれたMESH講座では、中学生も参加していた。
授業は前半1.5時間、昼食をはさみ後半1.5時間の3時間。Qremoの講座としては長時間ということだが、まずは前半でMESHは何ができるのかという説明と、アプリの操作方法をじっくり習い、後半で実際にMESHを使っての作品作りを行う。
現在販売されているMESHタグは5種類。その中から今回使用したのは「LEDタグ」と「Moveタグ」の2種類。LEDタグはアプリで色を光らせることが可能で、Moveタグは動きを感知しサウンドと連動できる。タグはとても軽くコンパクトで、子どもたちにも扱いやすく、親としてもブロック感覚で気軽に遊ばせられる。iPadとはワイヤレスで通信しており、ケーブルも必要ないため、汎用性が高い。
◆アイデアが湧き出す!
MESHの専用アプリは、iPadのタップ操作で利用できるものの、子ども用には作られておらず、漢字も多用されている。そのため、アプリの操作自体は小さな子どもにはやや難しい。それでも先生の指導のもと、小学校低学年の3人は、前半ですぐに使い方をマスターしていた。
午後の実践編では、段ボールや厚紙などを使い、工作をしながらMESHを活用した作品を作成。3人は嬉々としてさまざまな仕掛けを作っていた。以下はその一例。
・ドアに貼り付けて、ドアを通った人の写真を撮る
・ぬいぐるみにつけて、光らせる
・カバンのポケットに隠して、音を鳴らす
・枕にタグを仕込み、寝ると音が鳴る
いつもの工作とはまた違ったインスピレーションがわくようで、新しいアイデアを次々と試していたのが印象的だった。
今回参加した生徒の保護者は、「ただプログラムを体験するだけでなく実際に作ることができ、使ったMESHタグを持ち帰れるので、家でも引き続き試せるところが良い」と語っていた。
◆次回は春休みに短期ワークショップを開催
スマートトイ自体は流行りつつあるというものの、まだ一般家庭では導入が難しく、なかなか目にする機会も少ないかもしれない。そこでQremoでは、スマホで操作するボール型電子トイ「Sphero(スフィロ)」や、iPhoneを挿して動かすミニロボット「Romo(ロモ)」など、最新のスマートトイをいち早く取り入れたワークショップを長期の学校休みに合わせて行っている。初めて扱うツールでも、子どもたちはあっという間に使い方をマスターし、自分たちなりの新しい遊び方を見つけていく過程は非常に興味深い。
今後、玩具だけでなく家電をはじめとした多くの分野でIoTが登場していくだろう。子どもたちがどんな風にそれらのツールを使いこなしていくか、その準備としてスマートトイを活用してみるのも一案だ。
IoTの波は教育にも…2016年は最新スマートトイで学ぼう
《相川いずみ》
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