【SPEED TEST】 総務省ガイドラインに沿ってスマホの「実効速度」を分析してみた……ドコモ編 | RBB TODAY

【SPEED TEST】 総務省ガイドラインに沿ってスマホの「実効速度」を分析してみた……ドコモ編

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RBB SPEED TESTのログデータを箱ひげ図で集計(iOS)
RBB SPEED TESTのログデータを箱ひげ図で集計(iOS) 全 7 枚
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■3キャリアが「実効速度」の表記を開始

 2015年12月下旬、NTTドコモは公式サイト上でスマートフォンの「実効速度計測結果」を公表した。これは、同年7月に総務省が定めたガイドラインに沿ったもので、ドコモに続き、KDDI・ソフトバンクもそれぞれの公式サイト上で「実効速度」の公表を開始している。

 総務省のガイドラインでは、計測場所、計測時間、計測ソフトなど、決められた一定の条件下で速度測定を実施し、その結果を「箱ひげ図」と呼ばれる統計手法で集計・表示することが定められた。「箱ひげ図」では測定結果全体の“中央値に近い半数”が示され、各キャリアは今後この範囲を「実効速度」として公式サイト上やカタログなどで表記していく。ひとまず一定の基準のもとに各社の通信速度が公表されることとなったが、測定場所が異なっていたり、公表方法がキャリアによって微妙に違っていたりと、一概に比較はできず課題も残った状態だ。

■ガイドラインに沿ってログデータの分析を試みる

 本稿では、上記ガイドラインの条件にできるだけ沿ったかたちで、通信速度測定アプリ「RBB SPEED TEST」のログデータをキャリア別に集計してみたいと思う。初回はNTTドコモのデータ、追ってKDDI・ソフトバンクのデータについても集計してお届けする。

 まず、ドコモが発表した「実効速度」だが、iOSが下り49~89Mbps、上り14~30Mbps、Androidが下り53~91Mbps、上り13~28Mbpsとなっている。測定は政令指定都市および県庁所在地からランダムで選ばれた9都市に東京23区を加えた10都市、1500地点において実施された。混雑時間帯に各地点で3回ずつ測定した平均値をその地点における測定値としている。測定期間は2015年10月~12月で、測定端末は明記されていない。

 これを受けて、「RBB SPEED TEST」で対象とするログデータの測定期間は2015年10月1日~12月31日の混雑時間帯(正午から午後9時)、測定場所は唯一3キャリア共通で測定都市に含まれている東京23区(細かい地点は3キャリアで異なる)とした。測定端末は2015年に発売された主要端末として「iPhone 6s/6s Plus」(iOS)、「AQUOS ZETA(SH-03G/01H)/EVER/Compact、Galaxy S6/S6 edge/Active neo、Xperia Z4/A4/Z5/Z5 Compact/Z5 Premium」(Android)を選定した。混雑時間帯についてガイドラインでは「オフィス街・繁華街」は正午から午後6時、「住宅街」は午後3時から午後9時の間と規定しているが、今回の集計ではエリアの違いは考慮せず正午から午後9時までを対象としている。なお、上下いずれかの結果が128kbpsを下回るものは速度制限の可能性を考慮して除外した。

■ログデータ分析では下りの実効速度14.57~46.83Mbps

 上記条件でデータを集計したところ、対象データ数はiOSが7,656件、Androidが1,216件だった。ドコモが都内で測定した地点は670地点、測定数は各地点3回で2010回なので、それと比較しても十分な件数かと思う。順に集計結果を見ていく。箱ひげ図で中央値に近い半数の「実効速度」を求めると、iOSの下り速度は14.57~46.83Mbps、上り速度は6.37~21.73Mbps。最小値は0.14Mbpsで最大値は152.34Mbps。Androidの下り速度は16.10~54.36Mbps、上り速度は6.66~17.26Mbps。1,216件の中で最小値は0.16Mbps、最大値は250.24Mbpsとなった。

 いずれのOSについてもドコモの発表したものと比べると総じて低い結果となっている。ただし、そもそも測定に使用しているソフトが異なるため、この数字はあくまで参考として見ていただきたい。また、メールの送受信や一般的なWebサイト閲覧などでは下り10Mbpsも出ていれば十分ということもあり、そこまで悪い結果とは感じていない。

 今回は、総務省のガイドラインを参考にログデータを分析してみた。結果を箱ひげ図で示す部分は少し分かりづらい印象はあるものの、平均値のみを示す場合よりも幅広い可能性が提示できるため面白い取り組みではないかと思う。KDDI、ソフトバンクについても同様に分析し、随時公開していく。

《白石 雄太》

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