同社はもともと開発者向けにスティック上のUSB外付けアイトラッキングユニットを商品化し、直販チャンネルなどを通じて展開していた。今年の春には改良を加えてUSB 3.0/type Cコネクターを採用して、さらに小型化も図った新機種「The Eye Tribe Tracker PRO」を199ドルで発売する。
同機をPCやモバイル機器につなぐことで、アイトラッキングによる操作を活かしたゲームやその他のアプリケーション開発環境が容易に実現される。ユニット自体の消費電力が少なく、モバイル端末には技術的にも用意に組み込めてコストも低く抑えられるという。
今年のMWCではVRヘッドマウントディスプレイが特に人気を集めるアイテムの一つになっているが、THE EYE TRIBEもサムスンの「Gear VR」や、オキュラスの「Oculus Rift」に同社のアイトラッキング技術を組み込んだプロトタイプを出展し、視線の動きでVRコンテンツの操作を実現するインターフェースを紹介していた。
従来ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーは、頭や体を動かしたり、タッチパッドの操作によってコンテンツ内のオブジェクトに対してアクションを行う必要があった。視線解析の技術を応用することで、ユーザーは基本的には目線の移動だけでVRコンテンツ内のポインターを動かしたり、オブジェクトを選択することなどができるようになるので、視聴時の負担軽減につながるメリットがあると同社のスタッフは強調していた。
ヘッドマウントディスプレイのデモンストレーション用サンプルは、スクリーン側の筐体内部に視線の動きをキャプチャーするための小型カメラとセンサーユニットを内蔵している。
ユーザーの視線が集中している個所を正確に捉えられるようになったことで、ユーザーが意識を集中させて見ていない箇所は低解像度でレンダリングして、GPUの処理不可を抑えてセットの消費電力をより低くできる「フォービエイテッド・レンダリング」の技術をサポートしている。
今回テスト機によるアイトラッキング操作を体験する機会を得た。最初、画面に表示される10か所弱のポイントを見つめて目の動きを正確にトレースできるようキャリブレーション設定を行う。イベント会場では360度取り囲む博物館で、展示説明のパネルに視線を投げると詳細説明が表示されるデモコンテンツが体験できた。
同社では今回のMWC出展を機にヘッドセットメーカーに独自技術の特徴を売り込んでいく考えだ。またVRヘッドセットやモバイル端末だけでなく、車載インフォテインメントシステムのインタラクションシステムとしての優位性についてもアピールしていきたいと、同社のスタッフは語っていた。