高耐久モデルと次世代フィーチャーフォンに注力!京セラが掲げる海外戦略【MWC 2016 Vol.47】
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2015年はアメリカで11モデルの端末を商品化。4大事業者であるベライゾン、AT&T、スプリント、Tモバイルの全キャリアから商品を発売している。昨年はAT&T向けに発売したファブレットや、業務用フィーチャーフォン、プリペイド向けのスマートフォンなどモデルを充実させた。アメリカの販売状況について能原氏は「アメリカでは日本よりも先にスマートフォンへの切り替えが進んだが、ここにきてフィーチャーフォンを求める一定のユーザーがいることが見えてきた。結果、日本国内と同じようにフィーチャーフォンが好調」と語る。
アメリカモデルをベースにカナダにも、同社が“次世代のフィーチャーフォン”と呼ぶ新しいスマートプラットフォームを搭載する2モデルを展開。ヨーロッパはドイツとフランスでSIMフリー端末を法人向けにメインに提供する。メーカーや建設関係から引き合いもあり、導入が進んでいるという。昨年に欧州展開を宣言し、これが実現に至った形だ。
「ラインナップの内訳については、京セラのビジネススタイルが徐々に高耐久モデルの方にシフトしているため、グローバルでそのような構成になりつつある。高耐久の付加価値は業務用モデルとしてだけでうたうのではなく、コンシューマー向けにも例えばアスリート仕様のスポーツモデルとして価値を提案したい」(能原氏)
高耐久モデルの市場出荷台数は2014年から2015年の間で7割伸長した。コンシューマー向けのプロモーション活動として展開する、南米開催の「Dakar Rally 2016」に参加したホンダチームにトルクを提供したこともよい成果を招いたようだ。
同社が“次世代のフィーチャーフォン”と呼ぶカテゴリーは、新しいスマートOSを搭載するフィーチャーフォンのこと。同社では北米、日本国内の市場において今後も一定のフィーチャーフォンユーザーが残ると判断。能原氏は、一定の商品を提供をしていくいう考えを示しながら、またネットワークはLTE対応のものが主流になると語った。
「“RUGGED(頑丈な) Mobility”というコンセプトを打ち出して軸足を置きながら、業務用とコンシューマーの双方に魅力を訴求していく。アメリカと日本には5.7インチのファブレットを出してさらに強化したい」(能原氏)
日本では昨年、“洗えるスマホ”「DIGNO rafre」を発売。能原氏は「スマホが汚れたら洗うという文化を作った。主婦向けに発売したが、若い男性にも興味を示していただけているようだ」とし、当初の想定以上に成果が得られていることを強調した。
高耐久端末の技術進化をさらに加速させるため、同社はさらに「プラスα」の付加価値を追求している。フランスのSunpartner Technology社と共同で新しい5インチのAndroidスマホを試作し、今回の「MWC 2016」に出展した。ディスプレイ部に透明ソーラー充電シート「Wysips CRYSTAL」を搭載し、本体のバッテリーを太陽光でも充電できる機能を持たせて、例えば屋外で作業するユーザーに「首からぶら下げているだけで充電できるスマホ」として魅力を訴求していく。
なお同社では昨年のMWCにも4インチの“トルク”をベースにしたソーラー充電機能内蔵スマホの試作機を展示しているが、今年のモデルではソーラーパネルの部材自体のスペックが向上したことに伴い、大きさも5インチに拡大している。
コンセプトモデルの課題についても触れた能原氏は「発電効率が上がれば、その分パネルシートの透過率が下がって画面が見づらくなるというトレードオフがまだある。透明度を下げれば充電効率は上がる。商品化の段階までに判断したい」と述べている。
商品化の時期については、部品の量産開始と品質の担保を待ちながらも「できるだけ早く実現したい。2017年に出せればいいと考えている」とした。日本で発売される可能性については「興味を持っていただけるようであればぜひ出したい」と前向きだ。
なお、太陽光充電についてはこれだけでバッテリーの充電をフルにまかなうような機能としては位置づけておらず、あくまで日常使いで電池の消耗を抑えられる補助的な機能として訴求していくことになるようだ。Wysipsのパネル自体は充電だけではなくデータの転送機能も備えるデバイスだが、能原氏「今後の展開手段についてはいろいろな方向性を議論しながら決めていきたい」とコメントした。
《山本 敦》
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