被災地で通信の即時回復を実現する「移動式ICTユニット」
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同実証実験は2013年11月の台風で大きな被害を受けたフィリピン・セブ島のサンレミジオ市において、日本政府(総務省)、フィリピン政府(科学技術省)、国際電気通信連合(ITU)の取り組みに協力する形で行われた。
「移動式ICTユニット」は、文字通り移動可能な通信システム。大規模災害時に被災地に搬入・設置し、避難所などの公共スペースを短時間でWi-Fiエリア化し、通話やデータ通信を可能にする。
東日本大震災を契機に、NTT、NTTコミュニケーションズ、富士通、東北大学が総務省からの委託を受け開発したものだ。
フィリピン・セブ島では、2013年の巨大台風時には有線・無線ともに通信サービス復旧に約2ヵ月を要したため、公共機関同士の情報共有は人が移動して直接連絡する以外に方法がなかったという。その教訓を受けて、災害時に公共施設間での情報共有をおこなったり、被害状況の把握・集約を行うために移動式ICTユニットを用いていくという。
今回の実証実験を終え、「移動式ICTユニット」がフィリピンの台風被災地における通信ネットワークの応急復旧に有効であることを確認。この成果を受け、サンレミジオ市は本ユニットの市内各地への配備拡大に向け、より可搬性を高めた「アタッシュケース型ICT BOX」の実導入を2016年3月に開始。災害復旧用途以外に平時のインフラとしての利用用途拡大も計画しているという。
両社は今後、本実証実験の成果を生かし、大規模災害時の被災地支援への「移動式ICTユニット」の利用を働きかけ、災害が多い諸外国への普及活動を推進していく。
《防犯システム取材班/小菅篤》
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