防犯カメラ設置のガイドラインとは……静岡県磐田市の場合
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
そんななか、自治会や町内会などに対して設置を推進している側となる自治体では、監視カメラ(防犯カメラ)の運用・管理に関する条例やガイドラインを定めることで、適正な運用・管理を行うための指針としている。
今回は、1日よりガイドラインを公開した静岡県磐田市を例に挙げ、どんなガイドラインになっているのかを紹介していくことにしょう。
そもそも磐田市では、市内に設置された45か所の防犯カメラ設置箇所をWebで公開しており、誰でも確認することができる。これにより、子どもや女性などが帰宅ルートを検討しようと思った場合には、監視の目があるルートを選択できたり、必要以上に撮られたくないという人の意思も尊重できるという体制がとられている。
ガイドラインを見ていくと、冒頭で監視カメラの定義を、“犯罪の防止を目的として特定の場所に継続的に設置されるカメラであり、画像記録機能を有するカメラ”と定め、管理責任者は誰なのかをしっかりと指定することを求めている。管理責任者というのが、実は重要で、映像流出や故障などのトラブルが生じた場合の窓口になり、対処すべき人間となる。
同時に別項では、設置者や管理責任者などに対して秘密の保持や、映像の保存期間もおおむね1か月と定め、録画機器に関しては、きちんと映像の消去を行った上での廃棄を求めている。いずれも情報漏洩の抑止や仮に漏洩した場合の被害の最小化を目的としたものとなる。
また、設置に際しては、必ず近くに防犯カメラの存在を知らせる旨の表示が求められている。「防犯カメラ設置中」という看板があれば、何らかの悪事を考えている人間にとっては少なからず抑止効果が働くし、一般の人たちも撮られていることを自覚できるため、うっかりによるプライバシーの流出を防げる。
●警察への映像提供も「文書での要請」に限る!
続いて定められているのが、映像データの外部提供に関して。昨今では、警察の捜査に防犯カメラの映像が貢献するニュースもしばしば見聞きするが、警察が求めてきたからと行って安易に提供することは適切とはいえない。警察を名乗ったとしても、本当に警察かどうかを確認する必要があるからだ。
そこで、磐田市のガイドラインでは、「法令に基づく場合」「警察等捜査機関から犯罪捜査を目的として文書により要請を受けた場合」「人の生命、身体又は財産を保護するため、緊急かつやむを得ないと認められる場合」の3つを第三者提供できる例外と定めている。警察等捜査機関に関する記述には“文書により要請を受けた場合”と明示している点がポイントで、ドラマのように“警察手帳を見せるだけでOK”とはならない。
●ガイドラインをきっかけに安全運用への意識を!
ちなみにこうしたガイドラインは、そのほかの自治体でも定められていることは多く、内容も基本的には変わらないが、あくまでもガイドラインなので、守らなかったからといって、何らかのペナルティがあるわけではない。ただ、こうしたガイドラインがあれば、監視カメラを設置することで生じるリスクや責任を明確にし、広く周知できるので、大切な取り組みであると言えるだろう。
《防犯システム取材班/小菅篤》
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