オリンピックとパラリンピックのエンブレム、隠れたこだわり
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
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は25日、2020年に開催される同大会のエンブレムとして、野老さんの作品「組市松紋」を選定、同日発表した。発表会に続いて作者の野老さん、東京2020組織委員会の武藤敏郎事務総長、東京2020エンブレム委員会の宮田亮平委員長、同じく王貞治委員が出席して記者会見を行なった。
野老さん自身によると、同じピースで異なるフォルムを描くのはもともとの作風だそうだ。「日本の造形で伝統的な、そしてベーシックな円と月輪を同じピースで描けないか試した。藍1色にしたのは、潔い表現を意識し、さらに夏の大会なので涼しげな色合いにした。みんなで色を加えてほしい気持ちもある。“911”以後の芸術活動では『つなげる』ことを常に考慮している」と説明する。
宮田委員長は採用案について、「チェッカーは世界で愛されている模様だ。また藍は寡黙でありながら多弁な色。エンブレムは様々な形で応用されるが、そのときベーシックな部分として生かされる色だ。たとえば『アスリートががんばっている』と想像できる」と解説する。
宮田委員長は、採用案について委員会では「シンプルでよい」「日本の伝統、『粋』を感じる」「地味」「目がチカチカする」といった意見があったと明かす。王委員も「委員会には色々な考え方の人がいて、なるほどこういう意見もあるんだな、と勉強になった。エンブレムは日本を代表するイメージが出来たと思う。みなさんに大切にしてもらいたい」と語る。
宮田委員長はエンブレム委員会について「平気で『その意見に私は反対です』と言う人が出ててくる会議だった」と語り、活発な議論があったことを伺わせる。「議論が混乱したときには、それとなく王さんに話を振る。するとホームランになる。王さんが意見を言うと、場外に球が消えていくようにスーッと話がまとまる」と宮田委員長は笑う。
「選考に苦労はなかった。委員会は毎回ときめきがあった。最後の今日も、委員会は多いに盛り上がった。この難題に取り組めたことを誇りに思う。今日で最後と思うと寂しい」と宮田委員長。
武藤事務総長は「エンブレム選考・決定作業のテーマは『参画』。五輪史上始めての試みで、今後のモデルになるのではないか。デザイン案を応募した人、意見を述べて参画した人は、引き続き大会のサポーターになってほしい」と述べた。
《高木啓》
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