津波地震の可能性を探れるスロースリップの海底観測に成功
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
本プロジェクトは、上記の大学の他に、アメリカのテキサス大学オースティン校、コロンビア大学、ニュージーランド地質・核科学研究所、カリフォルニア大学サンタクルーズ校およびコロラド大学ボルダー校らと共同で実施された。
「スロースリップ」は、「ゆっくり地震」と呼ばれる地震の一種で、通常の地震と比べ遅い断層すべり速度で歪を解放する現象を指す。
現象の継続時間は数日から1年以上に及ぶこともあるという。東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震直前にもスロースリップは観測されており、本震発生時にスロースリップ域が再び大きくずれたことは、甚大な津波被害の一因にもなっている。
これまで沈み込み帯の浅部(海溝付近)で発生するスロースリップの観測は困難とされてきたが、研究チームは、海底圧力計を用いた海底地殻変動観測を実施し、スロースリップを観測することに成功した。これは、沈み込み帯沿岸部の地震発生ポテンシャルを評価する上で重要な成果だという。
また、今回観測されたスロースリップ域の一部は、1947年にヒクランギ沖で発生した津波地震の震源域と一致。このことから、実際に沿岸部で感じる揺れから予測されるよりも大きな津波が発生する「津波地震」の震源域となる可能性を示している。
今後は海底圧力計を用いた同様の観測を続けるとともに、海底GPS観測なども行うことで繰り返し発生するスロースリップの固有性を検証し、そのメカニズムの解明を目指すという。
《防犯システム取材班/小菅篤》
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