ドコモ社長交代、退任の加藤氏「2014年業績不振の思い出が強烈」
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■二人三脚でショルダーフォンを開発
都内で開かれた会見の冒頭、登壇した加藤社長は「吉澤副社長とは、古くからの付き合い。ドコモでは携帯電話の黎明期に”ショルダーフォン”を開発していたが、私が課長で彼が係長で、二人三脚で世の中に製品を実用化するべく頑張った。その頃の思い出が蘇ってくる」と話した。
吉澤氏は、ドコモがNTTから分社化した当初からドコモに在籍。これまで経営企画、ネットワーク開発、法人営業など幅広い分野で重要な責任者を歴任してきた。加藤社長は、吉澤氏を評して「経験が豊富。直近では経営判断の中枢を担っていただいていた。人物はとても実直で誠実。青年を思わせる若々しさを残したスポーツマン。スピード感をもってドコモを引っ張ってくれることは間違いない」と太鼓判を押した。
■使命と夢を追った4年間
加藤社長は、この4年間を振り返り「これまで皆様のご協力、ときに叱咤を頂きながら精一杯経営に努めてきた。通信事業者としての使命と、新たなビジネスへの夢に挑戦し続けた4年間だった」と総括。在任中に新しく始めたこととしてドコモ版iPhoneの販売、新料金プランの導入、ドコモ光の開始を挙げ、「手前味噌ではありますが、モバイル事業の推進に貢献したと自負している」とアピールした。このほかモバイル事業の柱とするべく、スマートライフ領域においてサービスを充実させたこと、+dの取り組みを開始したことなども実績として紹介した。
新料金プランの開始当初は業績不振にも陥ったが、その後V字回復の道筋が見えてきた。「こうした状況で新社長にバトンを渡せることに、ホッと安堵しているところです」と、最後に穏やかな笑顔を見せた。
■事業の3本柱を掲げた吉澤氏
新社長に就任予定の吉澤氏は「身の引き締まる思い。この4年間、サービスに付加価値を持たせる“共創”を進めるべく、加藤社長とともに取り組んで生きた」と挨拶。そして「今後デバイスの進化、ネットワークの高度化、ソフトウェアの進展を加速させることで、さらなる付加価値を打ち出していくのが私の使命。そのため、次の3つの柱で全力で取り組んでいく」とした。
3つの柱のひとつは、サービスの創造と進化。ドコモのサービス、研究開発力を活かしたイノベーションを行っていく。「現代はスピード競争の時代。スピード感を最重要視して取り組んでいきたい」と説明する。
2つめは+dの促進で、パートナー企業との協業によりユーザーに新たなサービスを提供していく。「ドコモの強みである、技術、デバイス、モジュール、サービスプラットフォーム、そうした強力なアセットを駆使して先端的の分野で積極的に貢献していきたい」(吉澤氏)。
3つめは基盤の強化。PREMIUM 4Gの拡大、5Gの研究開発の促進に取り組み、ネットワーク基盤をさらに促進させる。また強い会社にするため構造改革を継続的に実施していく。このほか顧客基盤の拡大、お客様満足度の向上も掲げた。
「3つの柱を、確実に打ち立てていきたい。モバイル業界は、競争と変化が激しい。これに対応するには、ドコモの基地局のアンテナのように、社員ひとり一人が高感度でないといけない」。そのなかで、吉澤氏は「慌てず騒がず、本質を見失わずどっしりと構えていく。奢らず冷静に対応する。座右の銘である”失意泰然 得意淡然”(しついたいぜん とくいたんぜん)を心がけて、事業運営をしていきたい」と抱負を述べた。
■点数をつけるとしたら何点?
加藤社長、吉澤氏が記者団の質問に回答した。就任した4年前には、“スピードとチャレンジ”を掲げていた加藤社長。その出来をあらためて聞かれると「せっかちな性格だが、もっとスピードをもってできただろう、ということはたくさんある。就任して半年は決断できない場面も多かった。以降は、覚悟ができて過ごせたかと思っている」。
自身で点数をつけるとしたら何点か、と聞かれると「難しい。はじめの半年は30点だったが、トータルではいかがでしょう。及第点は頂きたいかな、とは思う。でも(業績不振に陥った)2014年度の思い出が強烈。去来するものもたくさんある」と回答。新社長には「最後、決断するのは社長。自信を持って自分の考えで進んでもらえたら」とエールを送った。
当面の経営課題と対応策について聞かれた吉澤氏は「これから取り組んでいく。どれが最大の課題か、次のタイミングで具体的なお話をしたい。もっとも、今期の運営は開始されている。来期の数値目標を、前倒しで確実に達成したい」と回答。
座右の銘に、先の言葉を選んだいきさつについては「仕事を通じて、修羅場もたくさんくぐってきた。法人事業では、企業に頭を下げて回ることも多い。その際に冷静に対応策を考え、いかに素早く次のアクションに移すか、ということの大切さを感じた。それ以来、常にこの言葉を頭に入れて行動している」と明かした。
《近藤謙太郎》
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