【ICTが変える高齢化社会】介護者の負担軽減をICTで! | RBB TODAY

【ICTが変える高齢化社会】介護者の負担軽減をICTで!

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NTTのコミュニケーションロボット「Sota」
NTTのコミュニケーションロボット「Sota」 全 4 枚
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 介護現場の人手不足、労働環境の課題をITで解決しようという動きが加速している。代表的な例としては 要介助者の“見守りシステム”が挙げられるが、応用範囲はそこに留まらない。特に、介助者の負荷軽減という視点では、さまざまなソリューションが生まれている。

 東京ビッグサイトで開催された介護分野の総合展示会「CareTEX 2017」では、さまざまなベンダーやサプライヤーが製品を出展した。介護施設や介護サービスを提供している事業者は、その利点や動向をぜひ知っておきたい。

■報告書を自動作成、残業ゼロへ

 デイケアやデイサービスといった居宅型の介護サービスにおいて、介護側の負担になっているのが書類の作成だ。介護者は毎日サービスを提供する傍らで、その内容をまとめた介護記録を作成。それを元に事務方は介護報酬データなどを制作することになる。結果現場においては残業が避けられず、要介助者とのコミュニケーションの時間も削られていた。

 こうした現状に対応すべく、6年前からバックヤードの管理業務をIT化したのが、愛知県でデイケアサービスを提供している「たんぽぽ介護センター」だ。システム担当の寺田秀星氏によると、以前から送迎やリハビリといった業務について、個別に管理するソフトは存在していたが、それを連携させるような仕組みは無かったという。

「自社開発とバージョンアップを重ねることで、現場のオペレーションにきちんとハマるシステムを開発できました。職員は定時に帰れるようになりましたし、お客様の方を向ける時間も増えましたね」

 センターで使われている「TANPOPO SMILE SYSTEM」は、ICカードの活用が肝になっている。デイケアで提供されるサービスは、送迎、お風呂、リハビリの3つ。その時々で介護者のICカードを読み取ることで、それを業務記録として報告書に自動でまとめるという仕組みだ。

 また事務方においても帳簿管理の確認が不要となる。職員の出退勤もICカードで記録されるので、要介助者だけでなく、介護者の業務フローそのものを管理しているのが面白い。


■要介助者にも人気のロボット・レクリエーション

 一方で老人ホームのような介護施設では、ロボットの導入が徐々に進みつつある。その目的は主に2つ。ベッドからの移乗といった介助をアシストするものと、AIによるコミュニケーション能力で認知症予防などのレクリエーションを代行するものだ。

 このうち、後者においては、様々な形をしたロボットが提案されている。NTTのコミュニケーションロボット「Sota」もその一つだ。会場ではレクリエーション用の動画を再生するとともに、それにロボットを同期させるデモが行われた。動画の内容に合わせてSotaが声をかけたり、施設利用者を誘導するような司会役を果たしている。

 NTT東日本 第三部門 アライアンス担当 主査 西岡俊和氏によると、レクリエーションにロボットを活用する効果は、司会役としての労力の軽減にとどまらないという。

「レクリエーションの内容を毎日のように考えることは、介助者にとって大きな負担でした。また、新人に司会役を任せるには、引き継ぎや育成も必要でしたが、施設側ではこうした負担も考える必要がなくなります」

 また、ロボットの導入は施設利用者にも変化を与えたという。体操や歌といった既存のツールでは、利用者の集中を持続させることが難しかった。しかし、ロボットを利用することで、利用者の参加意欲が向上。レクリエーション中に利用者同士のおしゃべりの頻度が増えたという。

 介護の現場では精神的や肉体的な負担を原因とする、人材の流出が課題となっていた。少子化が進む中で、介助者の絶対数が増えることはまずあり得ない。今いる人材の価値は、どの介護事業者も理解していることだろう。彼らの負担を軽減する上で、ICTは間違いなく有効な手段となる。積極的な導入で職場環境の改善をアピールすることは、彼らに選ばれる職場であるために、欠かすことができない武器となりそうだ。

【ICTが変える高齢化社会:3】働き手に選ばれる職場をICTで!

《丸田鉄平/H14》

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