国民生活センター「ADR」による、消費者紛争の解決レポートが生々しい
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「ADR」は、商品やサービスなど消費生活全般に関わるさまざまな紛争について、裁判を起こすのではなく、当事者(消費者と事業者)以外の第三者が関わりながら、解決を図るというものだ。国民生活センターに申請することで、利用が出来る。このたび、ADRの制度開始以降の状況をまとめたレポートが、国民生活センターより公開された。レポートは78ページのPDFファイルとして公開されており、誰でもダウンロード・閲覧可能だ。
それによると、申請件数は、制度がスタートした2009年度106件、2010年度137件、2011年度150件、2012年度151件、2013年度151件、2014年度167件、2015年度155件、2016年度は4月末現在で11件。ほぼ毎年100件以上の紛争が起きているが、手続が終了した事案871件(取下げおよび却下を除く)のうち、約6割(551件)で和解が成立している。分野別にみると、最も多いのは金融・保険サービスに関連する紛争が、内容別では「契約・解約」に関連する紛争が最も多い。「販売方法」「品質・機能・役務品質」も高い。
また詳細な事例紹介も掲載されている。むしろこちらが本編で、生々しい紛争の様子が、くわしく記載されている。これは独立行政法人国民生活センター法にて、和解仲介手続又は仲裁の手続が終了した事例について、概要の発表が可能となっているためだ。
たとえば、950万円が当選したという差出人不明のメールの指示に従い、有料メール交換サイトを通じて何度も連絡していた事例では、サイト業者、クレジットカード業者、決済代行業者それぞれの反応が記載されている。回答書および答弁書を提出するが電話に出ない、そのため仲介委員より文書提出要求を発出したが手続に応じなかったため、和解が成立せず、手続を終了させるに至ったとのこと。
一方、SNSで知り合った人物から、FXトレードシステムと教材を勧められ、偽の給与証明書などを使ってまで買わされたというケースでは、この業者も、回答書・答弁書提出、電話での会話を拒んでいたが、文書提出は1ヶ月以上期限を過ぎてから回答。すでに営業を行っておらず、最終的に80万円の費用に対し、25万円の返金で決着している。
国民生活センターや仲介委員などが助けてくれるとはいえ、いずれの事例も、煩雑で大変そうだ。また、相手方の反応として「和解の仲介の手続に協力する意思」はあるが、「申請人の請求を認めない」というケースが多いのも気に掛かる。いずれにせよ、こうしたトラブルに巻き込まれないよう、高額商品の購入や契約には、慎重になってほしい。
《赤坂薫》
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