撮影した静止画・動画はスマホアプリの画面で直接再生。再生時には魚眼レンズ撮影のような「フィッシュアイ」、人の視点で見た情景に近い「パースペクティブ」、半球体のような「プラネット」と、3種類の効果が遊べる。画面を指でグリグリとスワイプしながら視点を変えたり、iPhoneの傾きに合わせて映像を動かせる「ジャイロ」の2種類の操作モードが選べるので、撮った後の楽しみが膨らむ。
ほかにもWin/Mac用にPCアプリ「Insta360Player」が用意されていて、インストールすると撮影した動画をスマホアプリの画面上で操作するのと同じ感覚で、ポインターで画面をいじりながら全天球撮影された静止画・動画を再生して楽しめた。簡易なものだが出来は良いアプリだ。
スマホ用アプリで撮影・再生まではできるが、編集機能が付いていないから、基本は撮りっぱなしになる。サイトで公開されているWin/Mac対応のPCアプリ「Insta360Studio」を併用すれば、不要な箇所を削除できる簡易なカット編集ができて、動画ファイルをMP4形式で書き出せた。また静止画はJPEG形式に変換して保存ができる。
撮影した動画・静止画はVR再生でも楽しめる。商品パッケージの厚紙でできた箱が簡易なVRゴーグルになっているので、アプリからVR再生モードに切り替えて、iPhoneをゴーグルにセットしてみる。カメラを装着したままではゴーグルと合体できないので、カメラのSDメモリーカードからファイルをiPhoneに転送してから、ゴーグルにセットして視聴する。簡易なゴーグルなので画質はまずまずだが、取りあえずカメラとセットでVRの世界へ気軽に一歩足を踏み入れるにはお手頃なガジェットだと思う。なお本製品に直接関係はないが、エイベックスデジタルがアプリ「dTV VR」のプラットフォームで制作・配信するVRコンテンツもこのセットで楽しめるので、ゴーグルが付いてくるお得感が高まった。
iPhoneに直付けできることを活かして、撮影した360度写真や動画を手軽にFacebookやYouTube、TwitterなどのSNSに公開することもできる。FacebookやYouTubeは360度動画コンテンツの公開にも対応しているので親和性が高い。YouTubeへのアップロードを試してみたが、iPhoneにアプリが入っている状態でログインを済ませておけば、Insta360 nanoのアプリからShareを選ぶとYouTubeのアイコンが出てくる。あとは指示に従って動画をアップするだけ。画質は最高品質の3K/30fps/13Mbps以下、3段階で切り替えて選べる。ファイルサイズを小さくして、スピード感を優先してシェアするといった使い方もできる。なお、Facebookの静止画、およびTwitterとLINEの静止画・動画投稿はいったんInsta360 Nanoの専用サーバーを介して投稿される仕様になっていて、各サービス上にはInsta360 Nanoのサーバーへのリンクのみが上げられる。つまり閲覧はInsta360 Nano専用のページ上でということになる。しかも投稿されたデータは削除ができない仕様になっているようなので、内容を確かめてからシェアするよう心がけたい。
手元に対応するiPhoneがあれば、取りあえずいま話題のVRを撮影・再生の両方からいっぺんに楽しめるお得なガジェットだ。iPhoneに差してすぐに使える手軽さは大きな特長だが、一方で本体のレンズ部分が特別に保護されていたり、本体が防水仕様になっていることなどがないため、取り扱いは慎重にしたい。素材を投稿する場合は周囲のプライバシーにも十分配慮しよう。VR入門にも最適な製品。ぜひAndroid版の登場にも期待したい。
協力:サンコーレアモノショップ