訪日リピーター獲得へ3つのポイント
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▼訪日客の6割がリピーターのため、これまでになかった付加価値を
▼体験型サービスは、浴衣レンタルなど身近なものから
▼国別の訪日ピーク時期を見極めて、サービスを提供
地方や中小規模の事業者は、インバウンドに対してどう取り組むべきか? 東京国際展示場で開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」では、訪日外国人向けビジネスの展示会「インバウンドEXPO2016」を開催。会場ではアジアを拠点にSEM(検索エンジンマーケティング)サービスを行なうアウンコンサルティングが、「ニーズの変化した訪日客にささるプロモーション~地方が狙うべきリピーターの獲得~」というセミナー講演を行なった。
■訪日客の6割がリピーター、需要はより付加価値を求めた旅行サービスへ
日本におけるインバウンドは、4分の3が中国、韓国、台湾というアジア圏からの訪日が占める。このうち、中国からのインバウンドでは“爆買い”のイメージが強いが、同セミナーの講師を務めた坪宏昭氏によれば、「もう“爆買い”の時代は終わった」という。そこで注目すべきがリピーターへの対策だ。
近年ではインバウンドが急増したこともあり、訪日客の6割がリピーターとなっている。初めての訪日では爆買いをした彼らが、2回目以降に同じものをまた買い求めるとは考えにくい。高額商品となれば、特に購買意欲は下がるだろう。そこで注目されているのが、体験型サービスだ。
セミナーではその一例として、カラオケボックス「パセラリゾーツ」が提供している浴衣体験会などが紹介された。中でも、北海道の「うたのぼりグリーンパークホテル」では、タイ人にターゲットを絞って、寿司握り、餅つきなどの体験サービスを提供。10年の280人から、15年には1500人までタイからの宿泊客が増えたという。
ほかにも、体験型では工場見学などのインダストリアルツーリズムでも、神奈川県や埼玉県が“日本のものづくりPR”として、外国語対応の強化を図っている。これは、中小企業にとって、今まで関係の無かった観光業に参加するための、大きなヒントとなるだろう。インバウンドが増える中にあって、今後は自社の取り扱う製品やサービスを、“体験型”として提供するという視点をもつことが必要だ。
■小規模事業者でも対応できる3つのキーワード
アウンコンサルティングではウェブ広告も手掛けているが、セミナーではどの国をターゲットにするのかということに留意した広告展開の必要さも強調している。
たとえば同じアジアでも、東南アジアにおけるインバウンドのピークは4月。一方、中国は7~8月がピークになる。「東南アジアは夏休みがないので春先、中国は夏休みがピークになる」ことが、その理由だ。つまり、広告を打つにも、時期と対象国をしっかり見定めることが重要になる。これは、広告だけではなく、サービスの提供でも同様だ。
円高になってもアジアからのインバウンドは減っていない。今後は“アジア対応”“体験型”“国ごとのピークを知る”の3要素が、インバウンドを取り込むキーワードとなっていく。
爆買いによる消費活動は主に大都市圏で行われたが、体験型のサービスであれば地方や小規模事業者でも十分に対応できる。時期と国のターゲッティングをきちんと把握してサービスを提供することで、個人経営のような小規模事業者にも商機はあるだろう。
カラオケボックス「パセラリゾーツ」の例を見るように、インバウンド向けの体験型サービスというのは、さほど敷居は高くない。国内の観光客も含めたターゲティングを行い、日本文化を体験できるようなイベントを実施すれば、そこに自然とインバウンド需要が生まれるはずだ。
インバウンドEXPO:1/訪日リピーター獲得へ3つのポイント
《関口賢/HANJO HANJO編集部》
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