日立製作所は、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催した「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」にて、接客・案内サービスの提供を主な目的とするヒューマノイドロボット「EMIEW(エミュー)3」のデモ展示を行ったので詳しく紹介していこう。
「EMIEW 3」は急増するインバウンド(訪日外国人客)への対応などを念頭において開発されたヒューマノイドロボット。リアルタイム性が要求される処理は本体側で行い、音声・画像・言語処理などの知能処理をロボットの外側で行うリモートブレイン構成を採用し、高さ90cmとロボット本体を小型化しつつも高度な接客・案内サービスを提供することができる。
現段階で明らかになっている仕様をまとめると、頭部には環境音や人の声などを聞き分けるために14個のマイクが設置され、首には測域センサー、前面と背面にはカメラが搭載されており、スムーズな移動、人との接触の回避、さらには移動監視カメラとしての活用も可能だ。
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最大移動速度は時速6kmで、人間の早歩き程度のスピードで移動することができ、段差に関しては15mmまで対応。稼働時間は、3時間となっており、電池が切れた場合は、Li-Feバッテリーを積み替えることで継続運用ができる。
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今回のデモでは、外国人観光客へ接客・案内を行うシチュエーションを想定。天井に設置された監視カメラと連携して利用者の元へと移動すると、利用者が話す言語を自動で認識して、英語や日本語で対応する様子が公開された。また、複数の「EMIEW 3」間で情報を共有して、業務を引き継ぐ様子や、自立走行機能により目的地まで利用者を誘導するところなども合わせて紹介された。
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これまでに2016年9月に羽田空港で、10月にはJR東京駅において、訪日外国人向け案内などの実証実験を積み重ねており(羽田空港では12月にも実証実験を実施予定)、これらの実証実験結果も踏まえた上で2018年の実用化を目指すという。
ちなみに同展示会の取材後、防犯システム取材班は、東京駅で実証実験中だった「EMIEW 3」を体験しにいってみた。実際に話しかけてみると、日本語で話しかけたものの、英語と認識されることもあり、現段階では、スマホの音声認識と近い印象を持ったものの、「新宿までの行き方を教えて下さい」と尋ねると、設置されていた観光案内所から、ホームまでの行き方や乗るべき路線(この場合は中央線)を画面を通じて教えてくれるなど、デモで見た内容に近いサービスを受けることができた。