しかし、オリンピックのような国際的な大イベントの場合、万全のテロ対策を行いつつも、大量の来場者や観光客をスムーズにさばくことも求められる。
そうした厳重なテロ対策と利用者の利便性の確保という本来なら両立が難しいとされる2つの要素の両立を探った製品が、日立製作所が10月より提供を開始している「ウォークスルー型爆発物検知装置」だ。
仕組みとしては、IDカードに付着した爆発物の微粒子を、検知装置で採取し、瞬時に爆発物の有無を探知するというもの。これまで展示会や成田空港での実証実験などで使われてきた試作機から改良が加えられ、従来のかざす方式から、IDカードを認証部に差し込む方式に変えたことで、より確実な検知を実現している。
【成田空港の実証実験で使われた試作機】

【製品版の認証部分】

今回、東京国際フォーラムで開催された「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」では、製品版を利用したデモを公開した。
最大のウリであるウォークスルーという部分では、カードを挿入後、数秒(デモでは挿入動作から約5秒)で爆発物を検知。これまで爆発物の検査といえば、人を使って、金属探知機やX線検査、拭き取りタイプの爆発物検査などの方法により、どうしても時間がかかっていたが、同装置なら1時間当たり、1,200人の検査が可能になるという。
今後は、同装置を監視カメラや顔認証システム、IoTプラットフォームなどと連携させることで、より広範囲をカバーするセキュリティシステムとして、公共スペースなどへの普及を進めていきたいとのこと。
【「ウォークスルー型爆発物検知装置」のデモ】