Huawei、放熱素材グラフェンを活用した世界初の耐高温・長寿命リチウムイオン電池
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従来のリチウムイオン電池は、50度までの環境で正常動作が可能となっていたが、同社の技術によって、これより10度高い60度の環境でも動作が可能となった。
同社研究部門であるワット研究所の李陽興チーフ・サイエンティストによれば、今回のブレークスルーは、3つの技術革新によって支えられている。
まず1つ目は、「電解質内の特殊な添加剤が微量に含まれる水分を取り除き、高温環境での電解質の蒸発を回避できたこと」、2つ目は、「改良した大型結晶NMC系を正極に使用することで、カソード・パウダーの熱安定性を向上できたこと」、そして3つ目は、「グラフェンによってリチウムイオン電池のより効率的な冷却が可能になったこと」だ。
特に、グラフェンの使用による効果は大きい。最近では、スマートフォンの放熱素材としても活用されている同素材だが、その活用によって、バッテリー寿命が2倍に伸びた。これは、同素材の冷却効果によって、バッテリーの劣化が抑制された成果であると考えられる。
今回の発表について、李氏は次のようにも述べている。
「高温環境下で充放電試験を実施した結果、動作パラメータが同じ場合、グラフェンを使用した耐高温リチウムイオン電池は通常のリチウムイオン電池に比べて温度が5°C低くなることがわかりました。60°Cの環境で充電を2,000回実施した後でも、グラフェンを使用した電池は70%以上の容量を保持していました。また、60°Cの環境で200日間保管した後も、失われた電池容量は13%未満でした」
今回発表された、グラフェンを活用したリチウムイオン電池は今後、通信基地局の蓄電池システムや、熱発生量の多いドローンへの利用が期待されている。
《KT》
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