医療シミュレーターロボット「mikoto」公開!拙い操作には「オエッ」と反応
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▼医療現場へのロボットの導入は業務効率を促すことにつながる
▼「産学官金」の強固な連携が可能な地方だから技術革新が行える
■精巧な人型ロボットで注目集める
4月19~21日、東京江東区の東京ビッグサイトで開催されたアジア最大級の医療機器展示会「MEDTEC Japan 2017」で、ひときわ異彩を放っていたブースがあった。医療サポートシミュレーターロボット「mikoto」を展示していたテムザック技術研究所だ。この「mikoto」製作には、産学連携、地域創生など、さまざまなプロジェクトが関わっているという。「mikoto」はどのように作られたのか、同研究所の檜山康明代表取締役社長に話を聞いてみた。
同社は、ロボット技術・事業実績のある(株)テムザック(福岡県)と鳥取大学医学部附属病院との連携をきっかけに、鳥取県米子市で医療・福祉分野に特化したロボット会社として2014年に設立。「mikoto」は、経鼻・経口からの気管挿管などの手技のトレーニングが行えるヒューマノイド型ロボット。姿形が人間型、しかも皮膚や表情も精巧とあって、テムザック技術研究所のブースには多くの人が集まっていた。
■トレーニング用ロボットで拙い操作には「オエッ」と反応する
「『mikoto』は、気管挿管、内視鏡検査、たん吸引といったトレーニングができるシミュレーターロボットです。皮膚がシリコン製で人体の感覚に近く、生体反応と近い反応を見せてくれます」
たとえば人間は緊張状態だと顎に力が入り、口を開けるのに力が必要だが、弛緩している状態だと力は必要ない。「mikoto」では、この両パターンを制御でき、より人間に近い状態を再現できるようになっている。また、にセンサーが取り付けられており、器具が挿し込まれた際、こういった部分に当たると減点するなど、検査時の動作評価も行える。人間にとって「痛い」と思う部分に当たると、「オエッ」といった反応も見せ、まさに人間に施術しているのと同じことが起こる。
「mikoto」は、もともとテムザックが開発した歯科用のシミュレーターロボットをベースに鳥取大学医学部附属病院シミュレーションセンターとの共同研究で開発。麻酔科、耳鼻咽喉・頭頚部外科等の診療科からの意見も取り入れられている。
■鳥取の「産学官金」が結集して開発された「mikoto」
「『mikoto』開発には、鳥取大学医学部、そして鳥取県、そして地元の金融機関という産学官金という4つが深くかかわっています。『とっとり発医療機器開発支援事業』という、県内中小企業と鳥取大学が共同で取組む医療機器開発プロジェクトを県が支援する鳥取県の助成事業があるのです。これに採択され、この『mikoto』の開発費の支援を受けました。こういった医療目的のロボット開発には、行政の支援は欠かせないものです」。「mikoto」は、鳥取県だからこそ開発できたともいえる。
檜山社長は、鳥取という大都市圏から離れたところで事業を展開することのデメリットに関してはこう言う。「やはり近くに医療機器メーカーがあるといいですね。当社では医療関連機器を中心に開発・製造・販売していきます。商圏が近くにあれば、いいなと思うことがあります。また、人材募集の際も少し大変だったりしますね」
しかし、それでも「鳥取だったからこそできたことのメリットのほうがはるかに大きい」と檜山社長は強調する。「地方だからこそ、こういった産学官金の協力が得られたのではないでしょうか。医療関連機器はロット数が見込めるものではないので、どうしても開発費、そして製品自体も高価になりがちです。それでも必要なものは開発したい、そんな思いが実現したのは鳥取だったからだと思います」
同社の「mikoto」には海外からの問い合わせも多いという。「mikoto」は現在は上半身に機能をもたせたモデルのみだが、将来的には全身に機能をもたせる構想もあるという。そして要望があるのは臓器を備えたものですね」。
地方の思いを乗せた「mikoto」。革新的な医療機器を表彰する「Medtec イノベーション大賞2017」にノミネートされ、「チャレンジ賞」を受賞した。これからもこんな地方発の「注目すべき製品」が続々と登場していくことだろう。
「鳥取だから」できた医療シミュレーターロボット/テムザック技術研究所
《HANJO HANJO編集部》
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