Webベースサイネージで情報発信!「見てもらえるコンテンツ」とは?
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▼現在のデジタルサイネージは“Webベースサイネージ”が主流である
▼消費者は自分に関係のなさそうな情報には見向きもしない
▼小規模事業者のデジタルサイネージは手間をかけすぎず継続することが大切
2017年6月7日~9日、幕張メッセで開催された国内最大級のデジタルスクリーンメディア産業イベント「デジタルサイネージジャパン2017」。街中のメディアとして多様な役割を果たすデジタルサイネージに関する情報や展示が一堂に集まった本イベントでは、デジタルサイネージについてのセミナーも数多く開催された。
そのセミナーのひとつ、小売業のビジネスに直結するであろう『「SNS」「インタラクティブ」「コンテンツ連動」店舗と顧客を繋ぐwebアプリケーションサイネージ活用のヒント』をピックアップする。
本セミナーはモデレーターに(株)インセクト・マイクロエージェンシー代表取締役の川村行治氏、パネラーに(株)マイクロアドデジタルサイネージ取締役の川畑裕介氏とC Channel(株)ビジネスマネージャーの武藤崇雄氏の二人が登壇、インターネット常時接続時代におけるデジタルサイネージの課題と活用方法について、最新の事例を交えながら説明が行われた。
■サイネージ活用のカギは“自分ごと”
まず前提条件として、現在のデジタルサイネージは“Webベースサイネージ”が主流であることを認識しておかなくてはならない。従来の“広告看板由来型サイネージ”は単に広告と費用が回っているに過ぎず、コンテンツ性やインタラクティブ性の強い“Webベースサイネージ”には太刀打ちできないものとなっている。
もちろんWebベースサイネージであっても、ただ設置するだけではその機能を十分に活かすことができない。重要なのは消費者に「見てもらえるコンテンツ」を流すことだ。
では「見てもらえるコンテンツ」を流すためにはどうすればよいのだろうか。武藤氏は「見てもらえるコンテンツはTVCM風に商品を紹介するだけではだめ」と、化粧品販売店のサイネージで無名に近いモデルがメイクをするハウツー動画を流した事例を挙げた。
現在の情報過多社会に生きる消費者が新しい情報に接したとき、「自分に関係があるかどうか」を一瞬で判断し、自分に関係のなさそうな情報には見向きもしないという。つまり情報をいかに“自分ごと”として受け取ってもらえるかがカギということだ。
前述の化粧品販売店の例では、手の届かない有名モデルではなく無名に近いモデルを採用した動画を見た消費者が「より自分たちに近い=自分にもできそう」と認識し、その結果商品購入へのハードルを下げることができるわけだ。
このことについて川畑氏は「今の若者はSNSに流れてきた情報を受け止めるスタンスで、特に自分の周りで起きていることにはとても敏感。逆に自分に関係のない情報については検索もしなくなっている」と補足した。このことからも“自分ごと化したコンテンツ”を提供することが重要だということが分かる。
■デジタルサイネージを継続するためコツとは
店舗にとって従来ののPOPやポスターからリプレースすることができ、使い方によっては大きな効果も見込めるデジタルサイネージ。しかしポスターのように「貼って終わり」ではなく、継続的にコストが発生するため、導入に足踏みをする企業も多いと川畑氏は言う。
その解決策のひとつとして川畑氏は「継続するためにはなるべく手間をかけないこと」と提案。例えば自社アカウントのSNSにアップした画像や動画がそのままサイネージに表示される仕組みを作っておけば、毎日の更新にかかる手間がぐっと抑えられるようになる。
川村氏は「サイネージにプロが作った広告やWebアプリ、動画などのコンテンツを配信することも必要」と強調。たしかにクオリティの高いコンテンツを自前で制作するというのは技術的にもコスト的にも負担が大きい。その道のプロにコンテンツの制作をアウトソーシングすることは、負担を軽減する一つの案となりうるだろう。
また売り場などの現場に近い場所や専念視聴できるネイルサロンのような場所にコンテンツを出したいと考えている広告主は意外に多いと川村氏。広告会社やメーカーが制作したコンテンツの提供を依頼するという方向性も視野に入れておいたほうが良さそうだ。
■時代の流れに柔軟に対応することサイネージ活用のポイント
最後にネット常時接続時代においてサイネージに何が求められるかというテーマについて、川村氏は「デバイスはハイテクなものだけではない。例えば新聞の折込チラシなどはシニア層に対しての訴求効果が高い。いろいろなインターフェイスがあって、それを消費者にサイネージとしてフィードバックできるかが大事」と話した。
川畑氏は「自社のリソースを再確認してほしい」と提案、「自社のホームページやSNSとサイネージを分断して考えず、再活用することで集中管理することができる」と続けた。
武藤氏は「ユーザーに対してどういう情報が提供できるか、自分ごと化できるか」と改めて自分ごと化を強調し「そのためにはコンテンツメーカーの優良なコンテンツを活用することも必要」と締めくくった。
情報に対して目の肥えた消費者が増えている現在。有益な情報を発信することができれば、SNSでの拡散により反響を得ることができるチャンスも大いに期待できる。その情報発信の一つとして、サイネージを活用することは有用な選択肢の一つと言えそうだ。
重要なのは“自分ごと”としてみてもらえるコンテンツ/デジタルサイネージジャパン
《川口裕樹/HANJO HANJO編集部》
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