■まずは「10.5インチ」のサイズ感を確かめる
まずは10.5インチと9.7インチのiPad Proを並べたり、重ねてみたりしながらサイズを比較した写真を見てほしい。最新のiPad Proは、最近のスマホがよく採用している峡額縁デザインの“ナローベゼル”設計だ。だから画面サイズは大きくなっても、そのまま本体の大きさ反映されないところがポイントになる。フットプリントではわずか7%の拡大にとどめたという。厚みを比べてみても目に見える変化はない。9.7インチと10.5インチを比較した質量も、Wi-Fiモデルが437g対469g、Wi-Fi+セルラーモデルで444g対477gと違いはわずか。手に持ってもその差はすぐに気がつかないだろう。
iPhone 7シリーズにならってマットブラックが追加されるのではと個人的に期待していたが、カラバリは従来通りの4色となったのが残念だ。背面のiSightカメラがiPhone 7シリーズに並ぶスペックになった。カメラ部分の“出っ張り”があるのは9.7インチのiPad Proと同じだが、出っ張りを囲うフレームが少し太くなっている。iSightカメラの画素数は1,200万と変わらず。フロント側のFaceTimeカメラが500万画素から700万画素に強化された。静止画撮影のサンプルは本稿の写真リストに掲載している。
■ディスプレイの描画応答速度が向上すると何が快適になるのか
アップルは今回、下のサイズのiPad Proを“サイズアップ”した理由について、もっと色んなことができるタブレットにしたかったからだと発表会などで説明している。色んなことができるようになった革新の大半は、今回は「ディスプレイ」に集約されている。
10.5インチのiPad Proのディスプレイは、サイズが大きくなっただけでなく「明るさ」が9.7インチよりも20%向上して600ニットになった。いまスマホでも流行している高画質技術である「HDR」にもiPadとして初めて対応。HDRの映像コンテンツを表示すると、輝度やコントラスト感、色合いもより自然なバランスの映像が楽しめる。ひかりTVやdTVではモバイル端末向けにHDR対応のコンテンツ配信をスタートするので、これらの高画質な動画がいち早く楽しめるタブレットであるところは、新しいiPad Proシリーズの強みとも言える。
最新モデルのディスプレイには「ProMotion」と呼ばれる、映像を見やすくするだけでなく、iPad Proのタッチ操作をより快適にしてくれる機能が搭載された。画面を描画する際のリフレッシュレート(1秒間に画面を描き直す頻度)を、従来モデルの60Hzから、2倍となる120Hzに高めた。これにより動画が滑らかに見えるだけでなく、画面にタッチしたときの操作の反応がグンと高まっている。
その差が最もわかりやすく現れるのがApple Pencilで線や図形などを描画したときの反応だ。「Sketches」アプリで曲線を書いてみると、ペン先の動きにすぐさま反応して画面に黒い線がデータ化される。Mapアプリの3D地図をスクロールしたり、拡大・回転してみても、指先での操作に対してストレスなく表示がピタリと追従してくる。これは気持ちがいい。
■Apple PencilとiPad Pro。「Sketches」アプリでの描画速度を比較
【iPad Pro 10.5インチ】
【iPad Pro 9.7インチ】
■iPad Proで「マップ】アプリの3D表示を比較
【iPad Pro 10.5インチ】
【iPad Pro 9.7インチ】
ディスプレイを高速で描画し直しているということは、駆動によりバッテリーを食うんじゃないの?と思うかもしれない。新しいiPad Proは画面に静止状態のコンテンツが表示されていて、タッチ操作がなかった場合は自動的にリフレッシュレートを24Hzに下げる仕組みも採り入れた。つまり無駄にエネルギーを消費しないように設計されているのだ。なおVODサービスの動画コンテンツについては、アプリの方で動画表示のリフレッシュレートが固定されているので、画面にタッチせずにしばらく視聴していても画質が低下する心配はない。
iBooksアプリで電子書籍コンテンツを表示してみた。9.7インチのiPad Proにも搭載されていた、画面のホワイトバランスを周辺光に合わせながら自動で最適化してくれる「True Tone」により、目の疲れや違和感はほとんど感じない。低反射率1.8%のガラスパネルを搭載しているので、屋外でもコンテンツが見やすいのがいい。