「nuroモバイルでんわ」の通話かけ放題プランは月額800円の料金を据え置きながら、回数無制限で使える時間幅を5分から10分に拡大した。これまでnuroモバイルでんわを利用していたユーザーも手続き不要で使えるようになる点にも注目だ。松井氏は「nuroモバイルのユーザーは30代から40代の方々が多いこともあり、通話定額サービスもビジネスからプライベートまで幅広いシーンで利用される傾向にあるとみています。10分の定額通話は他社の動向も見ながら決めた長さですが、より広範なお客様のニーズにアプローチできる最適な長さと考えています。」と、新たなプラン設計に自信をみせる。
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8月におこなわれた記者発表会では、毎月500MBまでの無料データ通信が付いてくる通話プラン「0 SIM」と併用するモデルケースも紹介されていた。スマートフォンを「電話中心」に使うというニーズは主婦層のほかシニア層に多くあり、nuroモバイルも一定のユーザーから支持を得ているという。松井氏によれば、例えば2台持ちのスマートフォンの片方を電話専用、もう片方をデータ専用として、それぞれに安価に利用できるプランを組み合わせて使いこなすユーザーもいるようだ。MVNOのサービスを賢く選んで使う成熟したユーザーも増えつつあるのだろうか。
■サポートを充実させて、ユーザーの声も丁寧に拾い上げていく
nuroモバイルはサポート体制の拡充にも力を入れてきた。月額500円の追加料金を支払うことで、端末の破損や水濡れ、自然故障などが発生した場合に修理や交換が利用できる端末保証プランを発表。端末やnuroのサービスの使い方、設定方法などのアドバイスが受けられるコールセンターによる遠隔サポート、ならびに訪問サービスを提供できる体制も整えた。
松井氏はサポート体制の強化策が、ユーザーの生の声を集めるタッチポイントになることにも期待を寄せている。松井氏は「MVNOのユーザーサポートについては様々なご意見が出てきていると把握していましたので、nuroモバイルとしても最重要課題として取り組んできました。遠隔サポートへの申込みについてはまだ始まったばかりですが、既に多くの問い合わせが来ています。その内容も精査しながら、さらなるサービスの発展につなげたい」と意気込みを語っている。
■nuroモバイルがXperiaシリーズを扱う計画はあるのか
nuroモバイルでは通信サービスと端末のセット購入のプランも設けている。新端末が発売されるとセットでの申込みが増える傾向は、ほぼ市場全体の流れと同調していると細井氏が説く。
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取り扱い端末については、ASUSのZenFoneシリーズ、VAIO Phoneなどミドルレンジクラスの端末が人気を集めているようだ。nuroモバイルはソニーグループのサービスなので、今後国内で人気のXperiaシリーズもラインナップに加えて欲しいというユーザーの声もあるにちがいない。松井氏は今後Xperiaシリーズを加える計画については明言を避けたものの、「他社の端末も含めて、nuroモバイルのプランと使い方などがフィットする製品を積極的にラインナップに加えていきたい」と述べている。
最後にnuroモバイルの今後の展開を細井氏にうかがった。細井氏はブランドの誕生から約1年が経って、ようやく幅広いユーザーのニーズに答えられる体制が整ってきたとしながら、最適なデータ容量や通話時間の長さなどについてアレンジを効かせたプランの新設にも意欲的に取り組む姿勢をみせた。一方では「現在ご利用いただいているお客様すべてに公平感を感じてもらえるような、全体のメニュー設計を意識することも大事」であると細井氏は指摘を加える。
細井氏はまたnuroモバイルの基本方針である「シンプルでわかりやすいプラン設計」を崩すことなく、MVNOのサービスを初めて選ぶユーザーにとって親しみやすいサービスを適正価格で提供することの必要性についても念を押している。nuroモバイルとしては「格安」を目指すのではなく、数あるMVNOの中でも特に信頼性の高いサービスとしてのブランドカラーを打ち出すことが大切であると、細井氏と松井氏がインタビューの中で繰り返し強調していたことが印象に深く残った。