
ただし、スマートスピーカーの真骨頂はホームネットワークを介してつながるスマート家電や、クラウドサービスとして提供される音楽配信やその他の便利機能を音声操作で快適に使えるようになる「スマート」な部分にもある。その点でGoogle HomeスピーカーやAlexaを搭載するAmazon Echo/Dotが先行して発売されているドイツで、IFAを皮切りにスマートスピーカーと連動する「家電とサービス」が続々と発表されたことは不思議ではないと言える。
ドイツを代表する家電機器のグローバルブランド、ボッシュにシーメンス、ミーレといった巨頭たちは、今年のIFAでAlexa搭載のAmazon Echoなどスマートスピーカーでボイスコントロールができる白物家電を、コンセプトモデルとしてではなく実際の商品としてブースに展示して、実際にサービスがどういう風に使えるようになるのかデモンストレーションをしてみせた。その様子はAlexaが上陸していない日本から足を運んだ筆者の目からだけでなく、IFAに集まった多くの来場者にも大きなインパクトがを与えたと思う。


スマートスピーカー自体は見た目にオーディオ用のワイヤレススピーカーとほぼ変わらないものが多いので、それ単体だと来場者が立ち止まって気にはしながらも、デモンストレーションに長居している様子もなかった。ところが冷蔵庫や洗濯機、オーブンなど日常の家電機器がスマートスピーカーでも動かせる様子を目の当たりにしたときの来場者の食いつきはやたらと良く、展示を説明するスタッフに様々な質問が投げかけられる。IFAの来場者はAIアシスタントとスマートスピーカーが、日常生活をどれぐらい便利に変えてくれるのかシビアに期待しているということが垣間見えた。
またスピーカーではない、AIアシスタントを搭載するデバイスもいくつかのブースで展示されている。元もとAmazonではAlexa対応の機器を開発するためのSDKを早めに、しかも比較的オープンに公開していたことが実を結んでいるのだろう。地元ベルリンのスタートアップであるSENICの、スマート照明と合体させたAlexa対応のボイスコントローラー「COVI」はデザインもスタイリッシュなので、来場者からひときわ注目を浴びていた。また日本からIFAに出展したCEREVOも、今年のCESで公開したロボット・デスクライト「LUMIGENT」にAlexa連携を加えたプロトタイプをブースでお披露目していた。


Alexa、Google AssistantにSiriなどのAIアシスタントを搭載するスマートスピーカーは遅かれ早かれ、次はほぼ間違いなく日本にやってくる。その時に私たち使う側が、スマートスピーカーのような製品を使ってどんな時に何をしたいのか、より豊かになる生活を強く思い描くことが、連携する家電製品やサービスを生み出す原動力になると信じて次の進化に期待したいと思う。