続いてソフトバンク テクノロジーユニットの野田真氏から、同社の目指すネットワークについて説明があった。同氏が掲げたのは「混雑エリア・時間帯での”低速撲滅”」。混雑時に効果的な4つのMIMO(マイモ)技術を展開していく考えを示した。
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4つのMIMOとは、セルの容量を1.5倍に拡張し3.5GHz帯にも対応させた「Massive MIMO 2.0」、クラウドの技術で複数の基地局をまとめて効率化する「Distributed MIMO」、現在の基地局のアンテナ構成を変えることなく展開できる「MultiUser MIMO」、それを上り回線に応用した「UL MultiUser MIMO」のこと。野田氏は「9月22日より全国で導入していく。今後、MIMOの対応基地局も増やしていく」と意気込む。もちろん新型iPhoneでも利用が可能。トラフィック混雑時のイライラが解消されることを期待したい。
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■ネットワークの負荷は?新型iPhoneの魅力は?
質疑応答には、榛葉氏と野田氏が対応した。
――いまソフトバンクでは、密集地帯でも通信速度が落ちないネットワーク技術の開発に注力しているということか。
野田氏「通信速度が遅くなってしまうユーザーの数を、できるだけ減らすことを目的に技術開発している。下りの速度で30~50Mbpsくらいのスピードが出ていれば、実際のところ動画の視聴にもストレスを感じない。それがお客さんにとっていちばん有り難いネットワークのあり方だと考えている」
――具体的には、どのようなシーンでメリットを感じられるか。
野田氏「最近、通勤電車の中で動画を視聴するユーザーさんが増えた。山手線、中央線など混み合う路線の場合、トラフィックも混み合うため、見ている動画が途切れたり止まったりといったことも起こり得る。私どものお客さまには、そういったストレスを感じるシチュエーションがなくなるよう、ネットワーク環境を構築していく」
――50GBのプランがネットワーク全体に与える影響について。
野田氏「当然ながら、サービスの提供後にネットワーク全体の負荷も上がると考えている。しかし元々、お客様の使用するトラフィックの量は増加傾向にある。ウルトラギガモンスターがネットワークに与えるインパクトはそれなりにあると思うが、でもすべて吸収し切れると想定している」
――半額サポート、ウルトラギガモンスターが収益に与える影響は。
榛葉氏「先の決算発表会で示した中に、すでに盛り込み済み」
――iPhoneの販売額を半額にすると、総務省の指針に触れないか。
榛葉氏「新型iPhoneの販売価格など詳細については、これから議論して決める。総務省の方針に従う形で検討していくことになる。ほぼほぼ、今回のプログラムで対応していけると考えている」
――新型iPhoneの魅力について、どう捉えているか。
榛葉氏「iPhone Xに関しては、さらなる成長の予兆を感じた。iPhoneの誕生から10年も経つのに、まだまだ進化していく。正直なところ予想以上だった。さすがAppleさんだ。具体的にはXに関しては3D顔認証機能、ホームボタンをなくした点などに驚いた。その背景に隠された新技術、工夫などを想像している。またひとつギアが上がったのではないか」
――ソフトバンク光とウルトラギガモンスターの棲み分けは?
榛葉氏「これまで通り、両輪という考え方で変わっていない。自宅で使う固定回線と、出先のスマートフォンで使うモバイル回線は違う。どちらも大切な両輪ということ」