バンダイナムコのグループではIoT技術を活かしたロボットやサービス、大きな意味での玩具の開発を「BN・Bot(ビーエヌ・ボット) PROJECT」としてスタートさせた。グループ内のノウハウや技術資産を活かして、他企業とも連携しながら幅広い商品とサービスの展開を目指していく。
そのプロジェクトの第1弾製品に選ばれたのが、アニメ「機動戦士ガンダム」に出てくる主人公・アムロがつくったという設定のマスコットロボ「ハロ」をホンモノのAIロボットにした「ガンシェルジュ ハロ」だ。ガンシェルジュはガンダムとコンシェルジュを掛け合わせた造語。ユーザーが話しかけるとハロが答える、AI(人工知能)を乗せたコミュニケーションロボットだ。

商品としての完成は2018年中を目指しているが、今回のCEATECでは開発中のプロトタイプを公開した。このハロが一般公開される機会はこれが初めてだという。
ガンシェルジュ ハロ(以下:ハロ)は大きくふたつのことができる。ひとつはユーザーとの会話。もう一つがゆらゆらと動いたり、目や口元のLEDを光らせたりすることだ。Wi-Fi経由で本体をインターネットにつないで楽しむことになるが、Bluetoothでスマホにペアリングして、本体のスピーカーを使って音楽を聴いたり、目覚まし時計の機能などがセットアップできるようにもなっている。

本体の直系サイズは約19cm。初代のハロと同じ鮮やかなグリーンのカラーリングだ。目は光るとピンク色に、口元はグリーンに点灯する。ハロ本体の機構、回路設計や生産はVAIO株式会社が担当している。その動きはぜひ動画でチェックしてほしい。

【CEATEC JAPAN 2017でお披露目:動くハロ】
ハロの動作は内蔵モーターによってゆらゆらと揺れたり、アニメの劇中だと“手”が出てくる本体上の方のパネルを開いておくとパタパタとさせたり、話しかけたユーザーの方向を向いてくれるといったシンプルなもの。自分で手足を伸ばして立ち上がったり、ころころと転がって走るといったホンモノのハロのような動きには対応していない。なお手足を伸ばした状態の交換パーツもディスプレイ用として用意される予定だ。

本体の内蔵バッテリーは専用のドックに置いてチャージする。ドックに置くと安定するので、テーブルの上などに置いた本体が転がり落ちて壊れる心配もないという。
CEATECの会場では、ハロとスタッフがおしゃべりしたり、ハロがクイズを出題するデモンストレーションの様子も見ることができた。こちらも動画を撮っているので、まずはチェックしてみてもらいたい。
【CEATEC JAPAN 2017でお披露目:しゃべるハロ】
デモンストレーションの間、ハロの口からは機動戦士ガンダムに関する会話、クイズしか話題に上らなかった。スタッフに確認したところ「ハロは機動戦士ガンダムのネタしか(ほぼ)話せません」とのこと。しかも「初代のガンダム・テレビ版」限定で、「Zガンダム」や「ガンダムSEED」「鉄血のオルフェンズ」など他の作品のことは“知らない”という割り切りようだ。ガンダムのファンなら気にして欲しいのがハロの知識が「テレビ版」であるということ。だから“ビグロ”や“ククルス・ドアン”のことを知っているのだ。そしてハロの合成音声は最新作「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」でハロのCVを担当する新井里美の声から生成されているという。コアなガンダムファンなら本気でハマりそうな要素が満載だ。

「機動戦士ガンダム」の内容に特化した会話AIは日本IBMと協力して開発されているものだという。収録されている会話の数は公開されていないが「クラウドをベースにしたサービスなので、発売後にアップデートで進化させていくことも考えている」(同社スタッフ)という。
いまAIを搭載してボイスコントロールに対応するエレクトロニクス家電やロボットが注目を集めているが、多くは音楽を聴くためのスピーカーや日常生活で活躍する白物家電が中心だ。ユーザーの命令を正しく把握して、すみやかに期待した操作を返してくれる“まじめ”な家電やロボットだけでなく、バンダイナムコが開発中のハロみたいに、意図的に用途が限定されていて、その道の好事家だけが楽しく遊べればそれで良しといった、尖ったAIロボットも現れてくればAIやIoTも本格的に楽しくなってくるのでは?と筆者は感じた次第だ。今年のCEATECではバンダイナムコブースが要チェックだ。