■92%の精度で診断
ボッシュが紹介していたのは、病害予測機能搭載モニタリングサービス「Plantect」。ビニールハウス内の環境と、病害のリスクを見える化するサービスだ。

使い方は簡単で、ビニールハウスの中に温度、湿度、二酸化炭素量、日射量を計測するセンサーを設置するだけ。このため工事は不要で、ビニールハウスの建っている場所、大きさなどを問わず、あらゆる農家で利用できる。取得したデータはクラウドにアップされ、気象予報などと連携。ボッシュが自社開発したAIが病気の感染リスクを診断する。その精度は92%というから、かなり信用のできるものとなっているようだ。現時点で対応しているのはトマト栽培における「灰色かび病」だけだが、今後、きゅうり、いちご、茄子などの野菜にも対応していく。

センサーと通信機は、長距離無線通信(LoRa)で通信する。ワイヤレスで使用できるので、通信ケーブルが必要ない。センサーは市販のアルカリ乾電池で駆動。一度充電すれば1年は持つ設計で、アプリから電池残量も確認できる。通信機にはSIMカードが入っており、スタンドアローンでクラウドにデータをアップロードする。クラウドサービスにより、専用アプリを介してスマホやPCから適宜、データを確認できる仕様だ。

基本プランは月額4,980円~で、各センサーと通信機のほか、パケット通信費用、クラウド利用料金もこの中に含まれている。初期費用はかからない。これまでの競合他社のサービスと比較すると、大幅なコストダウンが見込めるようだ。

農家の反応について、ブースの担当者に聞いてみた。「これまでは病気を予防するために農薬を多く撒いてしまっていた農家さんでも、病害感染の恐れが高まったときだけ撒けば良いようになったので喜ばれています。農薬散布の回数が減った、という声とともに多いのが、気軽に外出できるようになった、という声。これまではビニールハウスから目が離せなかったんですね」と担当者。


ちなみにPlantectは日本で開発したサービスとのこと。「国内の100軒ほどの農家さんに協力してもらい、データを集めました。また地方自治体、千葉大学の先生などにも指導をいただきました」(担当者)。今後、海外での展開にも期待を寄せているとの話だった。