■農家の働き方改革
Agrionは、株式会社トレックスエッジが提供するサービス。「いつ・どこで・誰が・何をしたのか」といった農業活動を記録することで、働き方を見える化する。

農業経営者は、あらかじめ農地と農作物を紐づけて登録しておく。作業者の名前、使用する資材や機材なども必要に応じて登録。作業者側は、iOS / Android向けに提供されているアプリのボタンを押してから農作業を開始し、終わったら終了ボタンを押す。作業日報の替わりにアプリを使用するイメージだ。そうして蓄積されたデータはクラウドにアップされる仕様。農地別、作業者別、日単位、作業の種類別といった項目でソートをかければ、グラフ表示することが可能になる。このデータを分析することで、例えば「作業時間の20%を圃場への移動に費やしている」「農業初心者はベテランの2倍の時間をかけて除草作業をしている」といったムダが浮き彫りになってくるので、農業経営に役立てることができる。

「農家さんの働き方改革、という観点で取り上げてもらえています」とブースの担当者。一方で、地方自治体からは”耕作放棄地の対策”として注目を集めているという。どういうことだろうか。「自治体では耕作放棄地で農業してもらうため、人を呼びます。そんなときに、Agrionがあればその農地ではどんな作業に何時間かかるか、細かいデータを提供できるわけです。新規就農者も、事前に作業内容が分かることで安心できるんですね」。

Agrionでは、多くの機能を無料で利用できる。どうマネタイズしているのだろうか。担当者に聞くと「高度な機能を利用するときだけ有料になります。あとは、資材を提供したい、農業を始めたい、といった人に向けてデータを使ったコンサルティングをしています。例えば、少し専門的な話になりますが、同じ農地に同じ農薬を使っていると耐性ができてしまいます。このため、農家は農薬をローテーションで使っています。そこで農薬メーカーに、農地別の過去のデータを提供する。メーカー側は効率的なマーケティングがおこなえるでしょう。農家からは、できるだけお金を取りたくない。たくさんあるデータを活用して、農家をサポートする仕組みをつくっていきたいと思っています」と説明していた。