ARKitではiPhoneやiPadが端末に搭載するカメラとセンサーを使って空間認識をおこなう。そのため、従来のARシステムではカメラで撮影した空間の中にオブジェクトを表示するために必要としていたARマーカーを使わなくても、オブジェクトをより正確に、自由度も高く描画できるのが特徴だ。
ARKitによって製作されたコンテンツはApp Storeからダウンロードして、iOS 11以降を搭載するiPhoneやiPadであれば動かせる。つまり、6s/6s Plus以降のiPhone、iPad Pro、第5世代以降のiPadなど、「A9」チップ搭載後のiOSデバイスで楽しめる。筆者も今回紹介するARアプリをiPhone Xで試してみたが、最新の端末を使うとよりいっそうサクサクと動く。
iOSデバイスのほかにARアプリを楽しむためのハードウェアを別途追加する必要もないのがうれしい。「いま話題になってるARって、いったい何なんだ?」という方も、手もとに対応するiOSデバイスがあれば、まずはApp Storeを開いて以下に紹介するアプリを体験してみることが、ARへの理解を深める近道になるかもしれない。
■1時間後に迫る雨予報を視覚化できる「アメミル」
「アメミル」は島津ビジネスシステムズの気象予報士である有本淳吾氏がARKitをベースに開発した天気予報アプリだ。10月は季節外れの台風上陸が続いたこともまだ記憶に新しいが、天気予報よりも衛星写真が捉えた雨雲が接近する様子を視覚化できる「アメミル」の方を頼りにしていたという方も多いのでは。筆者も普段から当アプリを活用するユーザーだ。


アメミルはユーザーの現在位置から半径10km以内、1時間前後のリアルタイム降雨情報を気象庁のアメダスから取得して、マップ上でチェックできるアプリだ。AR系ではふたつのユニークな機能を搭載している。ひとつは「雨レーダー」と連携して、iPhoneのカメラでキャプチャーした現実の景色に、これから予想される雨の状況をCGで重ねられる機能だ。雨降りの様子をシミュレーションしたARの画面を静止画でキャプチャしてツイッターでシェアすれば、家族や友人に雨降りへの備えを促すこともできそうだ。


もうひとつは「サテライトアイ」というもので、日本の上空から捉えたマップのCGを見ながら、現在雨が降っているエリアを雲を割ってズームインするようなエフェクトを楽しみながら確認できる。