携帯電話が普及し始めた90年代後半には、2G(第2世代の携帯電話通信方式)でモバイル通信がおこなわれていた。やがてスマートフォンでインターネットを利用する3Gの時代が訪れ、さらには通信速度に優れた4Gが主流となった。では、次世代の5Gは、これまでの進化がそうであったように、4Gの「通信速度」と「キャパシティ」を向上させただけのものなのだろうか。そもそも、すぐに商用化できる段階にきているのだろうか。


■5Gの特徴と実現できる世界
勉強会で解説してくれたのは、ノキアソリューションズ&ネットワークスの柳橋達也氏。柳橋氏によれば、5Gによって我々の生活環境は大きく様変わりする可能性があるとのこと。
5Gの特徴としてよく語られるのが「超高速大容量(eMBB)」「同時多数接続(mMTC)」「超低遅延(URLLC)」といった性質。「超高速大容量」に関して言えば、5Gでは現在の100倍の速度で大容量通信が可能。これにより高精細な映像をやりとりできるため、電車やバスといった公共輸送では車内向けに4K映像を流すことができ、病院における遠隔診断なども高度な水準でおこなえるようになるという。

「同時多数接続」という観点では、たとえば玄関のドアや家電など、各種センサーと連携したスマートホームが実現できるほか、乗用車に搭載した複数のセンサーによる遠隔車両診断などIoTの取り組みが一層推進できる。また「超低遅延」という性質が、自動運転カーやトラックの隊列走行、リモートオフィスなどを支援することも考えらる。これらはほんの一例に過ぎないが、5Gがモバイルの世界だけでなく、他の産業にも大きな影響をおよぼしていくということが分かる。
「5Gは4Gの通信速度とキャパシティを向上させただけのもの」とざっくりとした通念で語られることが多いが、具体的に生活に起こり得る変化をイメージしておけば、4Gとの違いが見えてきやすい。
