(エレメンツと詳細得点はJOCのページに公開されている ※ショート ※フリー)
前日行われたショートプログラムで、羽生選手と宇野選手の間には、7.81点の差がついていた。この差は得点配分の大きいフリーの演技で十分に埋められる点差であり、追われる側の羽生選手も、追う側の宇野選手もそれをしっかりと自覚してフリーの演技に臨んだだろう。結果、羽生選手は勝つために4回転ループを捨て、宇野選手は4回転ループを跳んだ。そして、演技構成を変更した羽生選手が、演技冒頭の4回転サルコーをしっかりと決めて、基礎点10.50点にGOE(出来映え)3.00点を加えた13.50点を獲得。挑戦した宇野選手は4回転ループに失敗し、基礎点12.00点からGOEが減点4.00点、結果8.00点となった。ここで2人はさらに5.50点離されることになる。

しかし、その後を見れば、2人はほぼ互角と言っても良い内容。むしろフィギュアの醍醐味の1つであるジャンプだけを見れば宇野選手が上回ったと言っても良い。宇野選手の方が後続だったため、冒頭のジャンプに失敗した時点である程度、羽生選手に敗れることは想像が付いただろう。そんな中で、その後の演技をこれだけ仕上げてきた(フリー202.73点)のはさすがの一言だ。
ただ、上には上がいるのも、また事実。ショートプログラムは振るわなかったが、大会前から羽生選手の最大のライバルと目されていたネーサン・チェン選手は、フリーで圧巻の演技を見せた。特に、ジャンプは6度の4回転ジャンプに着氷し、羽生選手を上回る215.08点をマーク。ショート17位から5位へと大幅に巻き返した。
数年前までは羽生選手の独壇場とも見て取れた日本男子フィギュア勢だったが、近年はそこに宇野選手らが食い込み、さらに面白みを増しつつある。特に、今大会で銀メダルを獲得して、より自信を付けたであろう宇野選手は、今後得意のジャンプにどれだけ磨きをかけていくかで、表彰台の立ち位置が変わってきそうだ。