全画面化が顕著なディスプレイ。上位機はHDR対応も当たり前に
サムスンのGalaxy S/Noteシリーズの最新機種やLG V30+、そしてアップルのiPhone Xなど日本国内にも峡額縁ベゼルを採用して、フロントパネルからハードウェアキーを省略した“全画面スマホ”が増えている。もはや全画面化のトレンドは大きなうねりになったと言えそうだ。

MWCで発表された注目機の中ではサムスンの「Galaxy S9/S9+」、LGの「V30S ThinQ」、そしてASUSの「ZenFone 5」が全画面デザインを採用する。今年MWCにブースを出した中国のシャオミも既発売のモデルだが「Mi MIX2」を出展していた。

全画面デザインは2~3年前に流行した、ディスプレイだけでなく本体のサイズも大きな“ファブレット”の進化形だ。スマホで楽しむ映像コンテンツのリッチ化と、大容量データ通信をコンシューマーが比較的手軽にかつ安価に利用できるようになったことから、より没入感や視認性の高い大画面を求める声は次第に強さを増してきた。その一方では徐々に片手での操作が難しくなっていた。この課題を解決できる良策としてディスプレイのアスペクト比を縦長にして、ベゼルも狭くしたうえで画面の領域を目一杯使える全画面デザインが生まれた。5.5インチ前後のボディに、6インチ前後の画面を収めきるサイズ感がどうやらベストとして落ち着きそうだ。

画面が大きく高精細化するにつれて、人間の目で見る情景により近い色や明暗差を再現できるHDRの技術にスポットが当たっている。HDR映像エンコード技術と対応するディスプレイデバイスが出そろってきたことで、今後は特にハイエンドモデルを中心に各社のスマホがHDR対応のディスプレイを乗せてきそうだ。反対に一時期は解像度も4K化が進むものと思われたが、どうやらいったん3K前後に落ち着きを見せそうだ。
iPhone Xは全画面ディスプレイでありながらFace ID機能などを実現する各種センサーと、フロントカメラを配置した上部のノッチ(切り欠き)が“アリ”か“ナシ”かで発売以来議論を呼んできた。ところがMWCでは敢えてこのノッチを採用するスマホが発表されている。


ASUSの新しい「ZenFone 5」はiPhone Xによく似た逆台形の形をしたノッチを採用しているが、発表会では「iPhoe Xよりも左右の幅が小さい」ことを強調していた。フランスのWikoはそれよりもずっと小さいフロントカメラの周囲だけを切り欠いた「View2」を発表している。奇妙なように思えるが、ノッチをいかにオシャレにみせるかという競争が起きていたのだ。サムスンのGalaxy S9/S9+はフロントパネルにある虹彩認証用のセンサーがどこにあるかわからないほど存在を消す方向で、フラットでシームレスな全画面化を実現している。筆者としてはこちらの方が好みだ。