【インタビュー】ISPとしてどう生き残るか?朝日ネット・土方社長を直撃! | RBB TODAY

【インタビュー】ISPとしてどう生き残るか?朝日ネット・土方社長を直撃!

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朝日ネット 代表取締役社長の土方次郎氏
朝日ネット 代表取締役社長の土方次郎氏 全 3 枚 拡大写真
 2017年にVNEへ参入した朝日ネット。これにより、同社のISPサービスを利用しているユーザーは、IPv6 IPoEでのインターネット接続が可能となった。RBB TODAYのブロードバンドアワードでもISP部門で最優秀を受賞した同社だが、今後はISPとしてどのような在り方を目指していくのか? 今回は代表取締役社長の土方次郎氏に話を聞いた。

■VNE 参入!IPv6 IPoEで体感スピードが向上

【編集長】まず2017年度における朝日ネットのサービスについて教えてください。

【土方社長】やはりVNEへの参入が挙げられます。これによって朝日ネットのプロバイダサービスをご利用のユーザーの方が、次世代情報通信ネットワークのNGNに直接接続するIPoEという方式を利用してインターネット接続できるようになりました。IPv6 IPoEに変えたことで実際にスピードが速くなったという声もいただいております。

【編集長】体感で分かるほど、スピードに違いが出てくるのでしょうか?

【土方社長】特別な設定をしなくてもYouTubeやFacebook、Googleなど、大手サービスのトラフィックがIPv6アドレスで流れるようになるので、そこは大きいですね。すでに手ごたえを感じています。

【編集長】IPv6 IPoEに切り替えるといっても、難しいことのように思えるユーザーもいそうな気がします。

【土方社長】ASAHIネットでは基本機能として提供しているので、特に難しいことはありません。ただ、NTT東西の「フレッツ 光ネクスト」では、IPv6接続機能がオプションとなっており、利用するには申し込みが必要です。我々は提供当初からIPv6接続機能を全会員に使ってもらうことを目指しており、現時点でも弊社のインターネット接続でフレッツ光を利用されているお客様のうち、7割の方がIPv6接続を利用できます。

【編集長】ISPによって、速さの違いが実感として表れているのでしょうか?

【土方社長】これはあまり良いことではないかもしれないですが、『ISPによって差がある』とお客様が感じられる状況になってきました。ダイヤルアップの頃はISPの設備設計によって繋がらないことがありましたし、ADSLでは電気的特性からリンクしないということもありました。それが、光接続になってインフラ投資が一巡した2005年から2010年頃には、良くも悪くも『ISPってどこでも一緒だよね』と言われるようになっていたんです。それが、ここにきてインフラ設計のポリシー、増強基準によって、ISPによる品質の違いが表れてきたわけです。トラフィックの爆発に対応できていない部分もあるので、事業者からいうと忸怩たる思いがありますし、業界としても危機的な状況ですが、これに謙虚に対応していきたいと思います。

朝日ネット 代表取締役社長の土方次郎氏

【編集長】アワードでは朝日ネットのサービスについて、“満足度の高いサービス”と評価する声が多く寄せられていましたが、要因はそのあたりにあるのでしょうか?

【土方社長】満足度が高い状況というのは、お客様の期待値との間に齟齬がない状態だと考えています。今回のアワードはそこにブレの無いサービスを提供できていると確認できる、よい機会になったと思います。お客様の需要を最低限満たすところから、良いサービスだと答えていただけるところまで、インフラや事業モデルを磨いていくことが、今後は必要になってくるのではないでしょうか。そういう意味で、まだまだ成熟した市場とはいえないと思っています。

【編集長】先ほど、ISPの違いが分からない時期があったという話がありました。コンシューマーにとってISPの存在感が弱くなっている気がしますが、これについてはどう思われますか?

【土方社長】フレッツ光が流行ったときに、お客さんに「ISPはどこですか?」と聞くと、「フレッツだよ」と答える方もいらっしゃいました。販売チャンネルやサポートとして、どちらの名前が前に出た方が安心感になり、手間がかからないかということなのですが……お客様の口からインフラ事業者の名前が出るのは、残念ながらトラブルのときが多いんです。普段のお付き合いではあまり名前が出ないぐらいで、インフラは“便りがないのが、よい便り”というところもあるかもしれません(笑)。

■VNE事業者としては「他社との協業を強めていく」

【編集長】VNE事業者として、今年度はどのような取り組みを考えているか教えてください。

【土方社長】今後のISP事業のためにはVNE参入しかないと決断し、投資を開始したのが2017年度でした。今後はVNEというレイヤーで、新たなビジネスモデルを確立していくことになるかと思います。具体的にはほかの事業者などに向けて、BtoBでの提供を進めていきます。VNE事業者同士で連携して、トラフィックを交換することも考えられますね。

【編集長】その先にはどのようなビジネスのビジョンがあるのでしょうか?

【土方社長】ISPはパソコン通信の時代から数えると、かれこれ20年以上、事業を続けてきました。その間には我々が直接アクセスポイントを設置していたところから、ビジネスモデルは3回ぐらい変わっています。フレッツの頃はバックボーンネットワークがISPの領域でしたが、VNEによって再びお客様の近くまでISPの領域が戻ってきました。この初めてではないものの、大きな変化をどう乗り切っていくかを考えています。

【編集長】大きな変化ということでは、やはりNGNの存在が大きそうですね。

【土方社長】NGNは日本が誇るインフラなので、これをどう生かしていくかが、日本のインターネット業界の今後の課題です。さらに、VNEというレイヤーを、ISPとどう協業させるかも重要です。ADSLのときもADSL事業者とISPとの間でNTT局内のジャンパルールや、NTTとのオーダーのやり取りなどで、いろいろな取り組みを行いました。利用者のユーザーフロントはISPの大きな役割ですが、それをVNEとどう分担し、利益を共有するかという課題があるかと思います。それは、OTTとの間にも同じことが言えますね。

【編集長】VNE事業者として他のプロバイダの参入もありますが、ライバル関係ということになるのでしょうか?

【土方社長】一概には言えませんが、各VNE事業者が目指しているものは、必ずしも同じではないのかなと思っています。ライバルになる部分もあるかもしれませんが、VNEをビジネスとして成功させるために、まずは協業していく局面にあるのではないでしょうか。3月15日に『NGN IPoE協議会』の設立を発表しましたが、ここでは情報共有などで協業していくことを目的としています。

■ISP以外ではワイヤレスの分野で事業を拡大

【編集長】コンシューマー向けでは、2015年からアンケートアプリ「respon」を提供されています。ほかにも、何か提供を検討しているサービスはありますか?

【土方社長】弊社では以前から教育支援システム『manaba』を提供していますが、その中の出欠管理システムの使い方について、お客様と話し合う中で生まれてきたのが『respon』です。今は具体的に申し上げられるものはありませんが、自分たちでサービスを作るときは、『respon』のようにお客様と一緒に考えていくものが多いですね。そのときどきでお客様が必要とするものを提供したほうが、良いサービスを開発できると考えています。

【編集長】ほかにも、ISP事業以外で力を入れている事業はありますか? モバイルで何か展開があれば教えてください。

【土方社長】「MVNO事業でいうと、ISPとしての強みを生かすのであれば、自分たちで電波を取りにいかないと、本来の競争力は活かしきれないと考えています。とはいえ、獲得チャネルのコストなどを考えると、我々の規模ではまだそこに踏み込むべきではありません。なので、通信事業との間で主従関係にあるようなサービスに、今後は力を入れていくことになります。

【編集長】通信事業に対して、主従の“従”になるサービスとは、どのようなものなのでしょうか?

【土方社長】わかりやすい例では、朝日ネットのお客様に、SIMを提供するという関係ですね。ただ、この関係性で弊社の事業と親和性が高いのは、モバイルよりもワイヤレスの分野です。例えば、工事現場にネットワークカメラを置きたいが、管路が詰まって回線が引けない……。そんな場所でもWiMAXならインターネットに接続できますし、工期も短くて済みます。場所にとらわれずに、次の現場に移動できるというのも強みですね。提供エリアを気にする必要もありません。

■トラフィック量は増え続けるが、インフラの負荷は減っていく

朝日ネット 代表取締役社長の土方次郎氏

【編集長】これまでお伺いしたよりも、さらに長期的なスパンで考えたときに、ISP事業はどのような進化をしていくのでしょうか?

【土方社長】例えば、料金形態でいえば、アカウントあたりの料金ではなく、“通信容量あたり何円”という形態になっていくかと思います。特に、法人のお客様は、もうオフィスでウェブを見ているだけではありませんので。IoTなどのアプリケーションで何のデータを流すのか、それに合わせてオーダーメイドすることになるでしょう。これは、ダイヤルアップの頃の3分10円の通信料が、月額料金で使い放題になったのと同じぐらい、業界にはインパクトがあるでしょうね。

【編集長】通信のトラフィック量は、これからも増え続けるのでしょうか?

【土方社長】サーバーからクライアント方向の、コンシューマー利用におけるトラフィックは、これからも増え続けます。ただ、その増加量は大きく変わらず、インフラも増強されていくので、ネットワークに対する負荷は変わらないでしょう。インターネット上のボトルネックは、そのときどきで移動するものです。今はネットワークのコアより、エッジのパワーが大きな状況ですが、技術的なブレイクスルーでインフラの負荷は収まる方向に推移していくと思います。

【編集長】増加するトラフィック量に対する、インフラ増強のひとつがVNE事業ということでしょうか?

【土方社長】ここ数年のトラフィック量は、およそ前年比40~50%でシフトしています。ただ、ベースとなる通信量が増加している中での1.5倍増ですから、これに対応してISP事業を続けていくためには、VNEが必要だと判断したわけです。

【編集長】10年後にはインターネットを取り巻く世界は、どのように変化していると予想しますか?

【土方社長】何かブレイクスルーがあるとすれば、やはり電源の問題ではないでしょうか。デバイスが抱える一番の問題は電源だと思うのですが、これが例えば年単位でもつようになる。これによって、何年も前の用語で言うとユビキタスな世界ですが、様々な機能を持つデバイスが、電源を入れないと動かないアクティブなものではなく、あたかもパッシブなものとして偏在することで新しい活用も可能になるのではないでしょうか。

《RBB TODAY》

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