Evernoteは、各種デジタルデータやテキストのメモなどを保存することができる。そして、前回までに見てきたような各種デジアナ文具で作成した手書きやテキストの送信先としても利用することができる。
一応おさらいしておくと、Evernoteでは、保存した各種データを整理するために以下のような機能がある。まず保存したデータは「note」と呼ばれる。また複数のnoteをまとめておくことができる「notebook」という機能がある。そしてたとえば、WebブラウザのGoogleChromeの拡張機能であるEvernoteWebClipで保存したデータは、保存する際にこれらを指定することができる。

このように、クラウド上に保存したデータについて、整理のための手がかりを、テキストのキーワードとは別に用意されている点がEvernoteの特徴だと言える。
そのことで、テキストや各種デジタルデータ、またはWebページのクリップをした情報をその種別を問わず一つにまとめておくことができるからだ。
そしてもう一つの特徴は、各種デジアナ文具との連携だ。本連載で今まで見てきたように、デジアナ文具それぞれの専用アプリには、Evernoteにデータを送信する機能がほぼ標準でそなわっている。パソコンで保存したテキストやExcelなどのデータとともに、第一回で紹介した「CamiApp」「SHOTNOTE」などに書いた図案やイラストなどを保存できる。とくに「CamiApp」「SHOTNOTE」のそれぞれとも、あらかじめ設定したタグを自動でつけることができる。

それまではデジタルデータとアナログな記録手段は、あくまで別々のものとして考えられていた。いや、筆記の軌跡をデジタル化するデジタルペンのようなものはあったが(今もある)、それらはどちらかと言えば、好事家向けのソリューションの域を出なかったと言える。
デジアナ文具は、これまであったデジタルとアナログの垣根を取り払い、Evernoteのようなクラウドサービスに一元化させることを可能にした。その大きなきっかけとなったのはスマートフォンであり、スマートフォン用アプリの存在だろう。
Evernoteはクラウド上にあって、デジアナ文具の情報の入り口であり、それを分類整理するための機能も持っている。そしてEvernote自体にもアナログな情報を受け止めるための機能が備わっている。次回はそれについて説明しよう。

【著者】舘神龍彦
手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)『ポメラ×クラウド活用術: ポメラをクラウドエディターにする方法』(http://amzn.to/2Cm39Bo)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。