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渋谷モディ 1 階 ソニースクエア渋谷プロジェクトにて、宇多田ヒカルさんが目の前で『KINGDOM HEARTS』のテーマソングを熱唱するPlayStation4 用ソフトウェア『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』公開記念、開発者によるトークイベント&「光」「誓い」体験会が開催されました。本稿では会場でしか聞けなかったトークイベントの内容をたっぷりとお届けします。
なお、『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』のレビューにつきましてはこちらの記事をご参照ください。
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会場に登場したのはソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社の林 亮輔氏、『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』映像ディレクター竹石 渉氏、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ梶 望氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの多田 浩二。プロモーション側の視点、映像制作現場の視点で、本コンテンツについて語っていきます。
◆『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』とは?
まずは今回のプロジェクトはどのようなものなのか、また、どのようにして発足したのか、 梶氏から説明されます。
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宇多田ヒカルさんは2017年にソニーミュージックに移籍。長年、宇多田さんのプロデュースをしてきた梶氏もソニーミュージックに移籍し、「ソニーならではのヒットを作る」ことを考えたそうです。「ソニーではワンソニーで売るカルチャーがある。ソニーグループ全体でいろんな事ができる」ということで、2018年、『キングダムハーツIII』の発売日が見え、さらに2018年12月9日は宇多田さんのデビュー20周年で久々の全国ツアーもあったことから、これらをかけ合わせたコンテンツということでVRに行きついたのだそうです。
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また、多田氏によると、ソニーには新しいVRの体験を作る「PROJECT LINDERGH」というものがあり、このプロジェクトの一環として今回のコンテンツの話しをもちかけたのだそうです。
◆これまでのライブビデオと『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』の違い
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宇多田さんがすぐそばにいるかのような臨場感を得ることができる本コンテンツ。これだけの臨場感を造り出すには並々ならぬ苦労があったことでしょう。 「ミュージックビデオはアーティストや曲のメッセージをクリエイティブに表現して視聴者を楽しませますが、今回はツアーのシーンを無垢なままVRで表現しなくてはならず、難しかった」と竹石監督。映像であるけど映像ではない、「体験」を作っているという気持ちで撮影に臨んだそうです。
「長く宇多田ヒカルさんを撮影してきたけどこんなに自分を見つめられたことはありません。直視できないくらい恥ずかしいです(笑)」と竹石監督。そういう気持ちになるところまで持ってこれたと手ごたえを感じたようです。
◆4K+6Kカメラを組み合わせた撮影の裏話
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コンテンツのメイキング映像を見ながら林氏による技術面の説明も行われました。撮影の下準備として、ツアー直前に幕張メッセを借りて実際のステージと同じものを作ってテストを行い、本番の横浜アリーナでは限られた時間の中で撮影が行われたのだそうです。
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メイキング映像で驚いたのは見たことのないカメラがいくつも用意されている点。林氏は、まず高品位な映像を作ることを念頭に、斬新なVRならではの新しい演出手法を考えたそうです。そこで業務用の4Kの小型カメラと、映画撮影用の6Kのカメラを組み合わせたのだとか。
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監督が現場で映像をジャッジしなければならないので、リアルタイムでヘッドセットをかぶりモニタリングできるシステムを今回のために用意したとのこと。また、より臨場感を高めるため、複雑に構成されたカメラをクレーンに乗せて移動させるというチャレンジをしたと林氏。そもそもVRは自分が動くのにカメラが動くと酔ってしまうので定点であるのが基本。しかし今回は没入感を高めるためにカメラを動かしたのだそうです。実際に観ると動いているか動いていないか気付かない範囲ですが、その徹底したこだわりに本コンテンツにかける情熱がうかがえます。
竹石監督は宇多田さんに「VRのカメラの先にはユーザー一人しかいない」ということを説明したのだとか。宇多田さんはそれを素早く理解し、撮影に臨んだといいます。技術だけでなくアーティスト自身の心構えがあってこその映像であると感じます。
◆臨場感を大切にするため、ツアー中に撮影
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ツアー本番2日目リハーサルの前に撮影された本コンテンツ。当初は時間の余裕を鑑みてツアーのゲネプロ(最終リハーサル)で撮影する予定だったそうです。しかしライブ初日を終え、ライブを1つ作り終えたところで撮影したほうが本番に近いものができるのではないかと考え変更したのだとか。「単純な撮影だけではないプロジェクトだった」と梶氏は語ります。
本作のこだわった点について、「アーティスト宇多田ヒカルがいかに魅力的であるか」に尽きると竹石監督。普段近いところで仕事をしているスタッフが感じていることを、多くの人に見ていただきたいと思ったそうです。目線の高さについても、ただ宇多田さんに見つめられるだけではグッとこないと感じたそうで、自分が彼女に対しどの位置にいたらグッとくるかを模索するため、1センチ刻みでテストを行ったのだそうです。
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「出来上がったものを観て、監督が今まで気づいていなかったことに気が付いたと言ったことが印象に残っている」と林氏。VRで見ると、宇多田さんがマイクでリズムを取っていることがわかります。長年宇多田さんを撮影してきた竹石監督が気づかなかった動きがわかるなんて衝撃です。
◆VRの今後について
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多田氏は、これまでゲームをメインにしてきたVRをライブコンテンツに用いた理由について、「立体的に実写の世界に入っていく技術が出てきたので、新しい体験としてお客さんに提供できるのではないかと思った」と語ります。また林氏は、ゲーム以外のVRでは音楽ライブの実写化にポテンシャルを感じていたそうで、「PROJECT LINDERGH」でも様々な音楽コンテンツを実験的に作っている最中なのだそうです。「音楽と一言で言ってもいろいろな音楽があるので、それぞれに合ったものを開発している」と林氏。今後も機会があれば本コンテンツのような新しいチャレンジをしてきたいと意気込みを語ります。
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宇多田さんがVRに挑むのは実はこれが2回目。前回よりも今回の方がお客さんの反応が大きかったそうで、その理由について梶氏は、「VRをやる前にツアーをやり、生の宇多田ヒカルを体感したことが重要なのではないか」と語ります。今回の体験から、ただVRコンテンツを作ればいいということではなく、どういうストーリーがあった上でVR映像があるのかが大事であると感じたそうです。
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お客さんからの質疑応答では360度音響について質問される場面も。コンサートは会場で聴くものなので音の方向にあまり変化がなく、別のコンテンツで実装していきたいと竹石監督。宇多田ヒカルというアーティストにとって今回の表現方法がベストであったように、別のアーティストには別の表現手法がマッチし、その時に360度音響も試されていくのではないでしょうか。期待が高まります。
今後のVRの展望について、「今回は今できる最大限のものを投入した。世の中のインフラが高まれば表現する可能性の場が広がるでしょう。その時代の最新の技術でベストパフォーマンスを提供していく予定です」と梶氏。また、ごく一部のハイスペックな機材を持った人だけが視聴できるものではなく、より多くの人が体験できるコンテンツを提供していきたいと語りました。
最後に、「アーティスト宇多田ヒカルの繊細さが伝わる映像になっている。ぜひ宇多田ヒカルを好きになってほしい」と竹石監督。最新の技術を使い、多くの試行錯誤を経て作られた『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018ー“光”&“誓い”ーVR』。その制作の裏では、並々ならぬ努力とチャレンジが行われていました。今最も最新の技術で作られた本作。VRで得られる新たな体験に触れてみてはいかがでしょうか。
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