映像産業振興機構(VIPO)による若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)2015に選出され、監督した短編映画『父の結婚』が話題をよんだほか、25歳で発表した小説『えん』が第40回すばる文学賞を受賞したふくだももこ。今作は、ふくだの初長編作品となる。
原作は、ふくだ自身が監督を務めた前出の短編映画『父の結婚』。妻を亡くした父親が再婚するまでの親子の日々を描いた同作の長編化となる。今回は舞台を離島に移しエピソードやキャラクターが追加されることで、家族における絆とそこへ向き合う主人公の心境をより深く描きだされる。
主演は、若手女優・松本穂香。松本演じる主人公・橙花は東京で働くキャリアウーマン。母の三回忌に実家の離島に帰ると、なぜか父・青治が母の服を着て生活していることを知る。びっくりする橙花を気にせず父は続けて「この人と家族になる」とお調子者の居候・和生を紹介。状況をのみこめない橙花と、人の個性を受け入れるおおらかな島の住人達との暮らしが、ときにクスッと、ときにハートフルに描かれる。橙花の父・青治役には、ふくだの前作『父の結婚』でも同じ役どころを演じた板尾創路が続投。青治のパートナーであり、お調子者の居候・和生は、浜野謙太が務める。
同作について、ふくだ監督は「小さな島のひとつの家族を通して、ユートピアを描こうと決めていました。どんな姿でも、何になりたくても、誰を好きでも、なんでもいいんだとこの映画を観て感じてほしい」とコメント。また、主演が決まった松本は、「ふくだ監督は、これは愛の映画だと伝えてくれました。キャストだけでなく、監督、スタッフさん達、この映画に関わった全ての人の愛がつまっている映画です。皆さんにも、自分が思う愛と重ね合わせて、観て頂きたいです」と呼びかけた。
映画『おいしい家族』は、2019年秋公開。