それは漫画家の藤子・F・不二雄。彼は『ドラえもん』『パーマン』『キテレツ大百科』といったユーモアあふれる作品ばかりではなく、大人向けのハードなSFも執筆。短編もの『ミノタウロスの皿』では、牛が支配し、人が家畜として飼われる逆転した世界が展開。人にとって、牛に食べられることが最高の栄誉として描かれている。
これを高校時代に読んだ古市は、「僕が信じてた常識ってものは、意外とたやすく変わってしまうんだなということを意識させられた」と言及。大学院を修了後、社会学者としての道を進んだが、「根っこは藤子・F・不二雄的な、常識を疑ったりとか、人々の価値観を揺さぶったりとか、違う社会のありかたを提案したい」と、目指すべき姿を語った。
さらには「社会学者というよりも、藤子・F・不二雄みたいなことをしたいという思いのほうが強い」とも述べていた。