【座談会】韓国で始まった世界初の商用5Gサービスを使ってみて | RBB TODAY

【座談会】韓国で始まった世界初の商用5Gサービスを使ってみて

 さる4月3日から世界に先駆けてスタートした韓国の5G商用サービスを体験してきた、RBB TODAY 編集長・小板謙次氏、携帯電話研究家/香港在住ITジャーナリスト・山根康宏氏、モバイル研究家/青森公立大学准教授・木暮祐一氏の3人。

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【座談会】韓国で始まった世界初の商用5Gサービスを使ってみて
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 さる4月3日から世界に先駆けてスタートした韓国の5G商用サービスを体験してきた、RBB TODAY 編集長・小板謙次氏、携帯電話研究家/香港在住ITジャーナリスト・山根康宏氏、モバイル研究家/青森公立大学准教授・木暮祐一氏の3人。訪韓中のそれらサービス全般について振り返ってみた。

座談会(雑談会)の様子。左から山根康宏氏、木暮祐一氏、小板謙次氏



■5Gの体感速度やエリアはどんな感じ?



木暮:で、実際に5Gを各所で速度計測してみましたけど、どんな風に感じられましたか?

小板:じつは速度計測アプリの目盛りがビュンビュン振り切っちゃうんじゃないかと期待してたんですけど、じつはLTEより速いね、ぐらいの感じだったのでちょっと拍子抜けしちゃいましたね。

小板謙次氏(RBB TODAY 編集長)


木暮:でも瞬間的にはすごいスピードが出ている感じがしますよね。速度計測アプリの結果は平均となるでしょうが、針の動きを見ていると瞬間的にすごく振り切れて高い数値が一瞬表示されるときもありますね。

山根:今回、4種類の速度計測アプリ(等)を使って速度計測したわけですが、じつは同じ場所で同条件で計測しているにも関わらずアプリによって全く異なる値になりました。

山根康宏氏(携帯電話研究家/香港在住ITジャーナリスト)


小板:RBB SPEED TESTは東京のサーバにアクセスするんです。なので海外からはスピードが落ちてしまいます。

木暮:5Gの速度理論値は光ブロードバンドよりも高速です。ただ、スピードも重要ですが、低遅延も特徴なので、そちらも気になるところです。

木暮祐一氏(モバイル研究家/青森公立大学准教授)


小板:5Gが使える場所の傾向で気づくことはありますか?

山根:たとえばキャリアの本社前とかソウル駅前のようなメジャーな場所よりも、明洞(ミョンドン)や江南(カンナム)のような人がごったがえすほど混雑をする場所に5Gを配置していますよね。とくに大学が多く集まる弘大(ホンデ)エリアなど、若者たちがあふれていて東京でいうと裏原宿のような場所で5Gの電波が入るということは、5Gでポテンシャルを発揮するコンテンツやサービスを必要としている人たちに応えるようにエリア計画しているように感じます。しかし、不安定な感じは否めません。もともとLTEの速度が速かった国だけに5Gには期待していたんですが、これじゃLTEで十分というような声が出てしまいそうですね。

弘大エリアの人であふれるストリートでも5Gをつかんだ


小板:5Gを探しまくったという印象です。もうちょっと5Gが入ると思っていたんですけどね。

山根:そうですよね、そこですよね。4G(LTE)と5Gが切り替わりながら通信するというのは理解してましたけど、それにしても5Gが入りづらい。4Gからなかなか切り替わらないというような印象でした。感覚的に9:1ぐらいで4Gですよね。これが逆転しないと。

木暮:エリアマップを見るとかなり充実してそうなんですけど、結局密度が足りてないんですね。

山根:5GのPRキャンペーンをやっているところで、並んでいる端末がWi-Fiにつながっていて、5Gは入っていないというところが多くて驚きました。それでよいのかと。

木暮:そうそう、モバイルネットワークは切って、Wi-Fiのみ接続して「5Gでこんなことができるんですよ、というデモです」と割り切っているところに驚かされました。

山根:韓国では昨年12月に国から免許が下りて、5Gのネットワーク構築を進めてきたので、もう少しは充実していると思ったんですけどね。

小板:滞在中、テレビのCMでもずいぶんと5Gがらみを見かけましたよ。

山根:そういうキャンペーンやCMに感化されて5Gに買い替えるユーザーももちろんいると思います。でもベースのLTEよりも速度が落ちることはないでしょうから、大きな不満は出ていないのではないでしょうか。


■端末の5G表示が2種類あるナゾ



小板:今回5Gのレビューに使用しているGalaxy S10 5Gで、5Gにつながっている際の「5G」の表示が2種類ありますよね。これっていったいどういうことなんでしょうか。

木暮:「5G」の表示が、「白文字の5G」と「白抜き文字5G」がありますね。

白文字の5G(上)と白抜き文字の5G(下)


木暮:5Gエリアにいる際に、ほとんどの場合は「白文字の5G」が表示されていて、たまに「白抜き文字の5G」を見かける感じでした。実際に速度計測してみると、「白文字の5G」のほうはLTEとさほど変わりません。

山根:韓国の5Gサービスは5G NR方式を採用し、周波数帯は3.5GHzを採用しています。またネットワークは5G単独のSA(スタンドアロン)方式ではなく、コアネットワークを4G(LTE)と共用するNSA(ノンスタンドアロン)方式を採用。5Gサービスを開始したとはいえ、5Gの3.5GHzを単独で利用するのではなく、各キャリアはLTEの既存の周波数とのキャリアアグリゲーションを行って「5G」という名称のサービスを展開しているんです。

木暮:5Gエリアで、LTEのネットワークをベースに通信させて、5Gネットワークにつながればより高速に、みたいな感じなんですかね。しかも5Gだけにつながっているというのではなくて、キャリアアグリゲーションで両ネットワークを使っているという理解ですね。「ServiceMode」を表示させると、確かにLTEのネットワークではBand 7(2.6GHz帯)につながっているようですし、5Gの状態を示すNR Informationの中には5GのBand 78(3.5GHz帯)につながっていることを示す表示が出ています。これは「白抜き文字の5G」の時です。

NR Information(白抜き文字の5Gで接続時)


木暮:ところが「白文字の5G」のときはNR Informationが表示されないので、5Gネットワークを利用していない状態という感じですね。「白文字の5G」の場合は、端末としては5Gネットワーク内にいることは分かっているけど、5Gの通信機能はアクティブにさせていなくてスタンバイしているような状況ってことかな。

山根:そういう認識で良いと思います。5G NR方式ながらNR接続していないスタンバイ状態でも5Gとして表示させることについて、各キャリアや端末メーカーの裁量にゆだねられているらしんですよ。アメリカでかつて4Gが始まったころに、AT&TとかがHSDPA+なのに4Gという名称を使い出したんですよ。それと同じかな。

木暮:まあ、世界に先駆けてスタートした5Gのエリアが充実しているということをアピールするためには、通信キャリアと端末メーカーが協力して、いわば「表示を緩く」することで見た目のエリア充実はアピールできます。確かに過去にもそういう現実をたくさん見てきました。
小板:端末が「白文字の5G」を表示していて、そのままじっとしていると「白抜き文字の5G」に切り替わったりします。端末を静止させると電波が安定するという感じでしょうか。

山根:大容量そうな通信が始まると、端末やネットワークが察知してか、「白抜き文字の5G」に切り替わったというようなシチュエーションもありました。本当に5Gの電波をつかみにくいですね。サービスイン直後だから今は致し方ないとしても、神出鬼没の電波って感じ。

木暮:「白文字の5G」というのは、端末自身は5Gが使える環境にいることが分かっているんだけど、それを使うかどうかはご機嫌次第という感じですね。まるで気まぐれな飼い猫みたいな感じかな。(笑)


■韓国3キャリアの5Gどれがよい?



小板:韓国3キャリアの5Gエリアはどんな感じでしょう。

山根:まず韓国3キャリアについて概説しておくと、最大シェアを誇るのがSKテレコムです。そしてそれに次ぐのがKT。KT(韓国通信)はもともとは国営の通信会社で、日本のNTTに相当する企業です。そして3番手がLG U+(ユープラス)です。

木暮:韓国に来る前に3キャリアのウェブをチェックし、5Gのサービス内容とか通信エリアとか確認したのですが、とくにLG U+はエリアマップが見つかりませんでした。今回、LG U+契約の端末をレンタルしていたので、渡航してから使えなかったらどうしようと不安でした。

山根:このポスター見てください。KTの店頭にあったポスターですけど、自社の5Gエリアが3キャリアの中では一番広いことをアピールしています。しかも、LG U+はエリアマップさえ公表していないではないかというような感じで。(笑)

<008>店頭にあったポスター


小板:ソウル市内各所での3キャリアの速度調査結果を見ると、じつは意外にLG U+が健闘しているようですね。

木暮:そうなんです。LG U+が時々驚くような通信速度を出してくれます。

山根:SKテレコムやKTは、なんかちょっともどかしいというか、引っ掛かっているというか、すっきりした速度がでない場合がありますね。しかも、KTに至っては上りの通信速度が遅いです。これらはネットワークのチューニング次第。今後、各キャリアともネットワークの状況を見て、微調整していくのでしょう。

小板:エリア展開はどうでしょうか。

木暮:たとえば江南(カンナム)駅の11番出口で滞在中最高速の714Mbpsを記録したんですが、日本で例えれば東京・六本木駅の3番出口を出たようなところですよね。これだけ人があふれるようなところでしっかり速度が出ているのに驚きました。

江南駅11番出口付近で714Mbpsを記録


山根:本当に、人が多い場所、ネットワークトラフィックが激しいところをしっかり5Gで補完しようという感じですね。SKテレコムの本社前なんて、ほとんどスピードが出ませんでした。自社の前よりもユーザーの多いところ重視で堅実にエリアを作ろうとしている感じです。


■5Gのネットワークが本格的に使えるのはどれぐらい先?



木暮:かつて2001年に日本で3Gがスタートした際のことを覚えているんですが、正直1~2年ほどはほとんど使い物になりませんでした。日本の3Gはスタンドアロンでしたし、周波数帯域は2GHz帯だったこともあって電波の入りも悪く、エリア拡充で各キャリアは相当苦労したでしょう。のちにPDC方式(2G)とのデュアル端末を出したり、さらにはプラチナバンドを使うようになって徐々に日常使用に耐えるものになっていきました。さて、現状の5GはLTEの上で5Gを掴むので、3Gのときのような混乱はないにしても、まだ不安定だしエリアも限定的です。5Gが5Gとしてのポテンシャルを発揮できるようになるまでどれぐらいかかるのでしょう?

山根:韓国はLTEに相当力を入れてきました。3Gでは苦労した苦い経験があるので、LTEで挽回しようとしていましたからね。LTEのネットワークが充実しているので、それがベースになりますから5Gの充実も早いかも。

木暮:日本では2020年春以降と言われていますね。東京オリンピックに向けて東京都内中心にまずは整備し、そこから順次全国展開という感じでしょうか。日本ではiPhoneが新ネットワークに対応すると各キャリアもその発売に合わせるように急ピッチで拡充させますが、果たして来年発売のiPhoneが5G対応になるかしら。

山根:5Gのチップ問題でアップルとインテルがもめていましたからね。和解はしましたけどその遅れを取り戻せるのか。


■モバイルエッジコンピューティング(MEC)



小板:5G関係ではモバイルエッジコンピューティング(MEC)という技術が求められているようです。ユーザーの近くにエッジサーバーを分散配置する技術で、クルマの自動運転とか遠隔手術とか、高いリアルタイム性が求められる分野では、MECを使ったいわばイントラネットワークのようなものにサービスを直接接続して5Gと結ぶような形です。

木暮:そのほうがセキュリティも高められますね。なんだかこの閉じたネットワークのイメージは、かつて通信キャリア各社が手掛けてこられたモバイルインターネットのサービス、さらにはプラットフォームビジネスへの発展を彷彿させますね。

小板:ともあれ、日本でも今後スタートする5Gを、一足早く韓国で体験することができました。日本の関係者は韓国のこのサービスを実際に見ていただいて、ぜひとも世界から評価される5Gサービスを日本でサービスインしてもらいたいですね。

《RBB TODAY》

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