ファーウェイ、新スマホP30シリーズ日本発売……米規制政策にも言及 | RBB TODAY

ファーウェイ、新スマホP30シリーズ日本発売……米規制政策にも言及

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ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏
ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏 全 17 枚
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 ファーウェイ・ジャパンがスマートフォンの新製品「P30シリーズ」の発表会を開催した。今回も高機能カメラのさらなる進化に注力した製品。プレゼンテーションはその使いこなし方を詳しく紹介するための時間を大きく割いた。ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏が、アメリカの同社に対する規制について語ったコメントも含めて、発表会の模様をレポートする。

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■松竹梅、3つのP30シリーズが誕生した

 はじめに21日ファーウェイが発表した新製品を振り返ろう。内容は5月24日から順次発売となるP30シリーズのスマートフォンが3機種、スマートウォッチとワイヤレスイヤホンが1機種ずつとなった。

P30シリーズの発表会が開催された

 P30シリーズについては5月16日にNTTドコモが発表した「P30 Pro/HW-02L」も紹介された。こちらは今夏にNTTドコモの独占販売により発売されるP30シリーズのフラグシップモデルだ。製品の詳細についてはNTTドコモのWebサイトで公開されている通りだが、クアッド(4基)レンズ仕様のメインカメラと、約6.5型のカーブド有機ELディスプレイ、4,100mAhの大型バッテリーや、本体の背面がQi対応のワイヤレス充電パッドになっていて、ほかのQi対応の機器にワイヤレス給電ができるパワーシェアの機能などを特徴としている。NTTドコモからは青いグラデーションのブリージングクリスタルとブラックの2色が発売される。

フラグシップモデルのP30 Pro

4つのレンズユニットを持つクアッドカメラを採用

 フラグシップモデルのエッセンスを落とし込んだミドルレンジのP30はSIMフリーでも展開される。キャリアとの通信契約を結ばなくても端末単体で、ファーウェイ 楽天市場店のほか家電量販店、ECサイトやMVNOを通じて購入できるので、ガジェットファンも要注目だ。価格は77,880円(税別)。発売日は5月24日。メインカメラにはイメージセンサーの解像度や画角、ズーム機能の仕様などが異なるライカと共同開発したトリプルレンズユニットを搭載。ファーウェイのSoC「Kirin 980」の高度な処理能力とディープラーニングの技術によるAIフォト機能充実させた。約6.1型フルHD+の有機ELディスプレイを搭載。

ミドルレンジのP30

P30もトリプルカメラ仕様

 P30 liteはシリーズのエントリーモデル。ファーウェイのP liteシリーズのスマホとして初めてトリプルレンズカメラを搭載した。SIMフリーのスマホとしてファーウェイ 楽天市場店などP30と同様に多くの販路で展開される。KDDIが今夏のラインナップとして発表したP30 lite Premiumは内蔵ストレージの容量が128GB。P30 liteは64GBになる。本機の価格は32,880円(税別)。発売日は5月24日。画面サイズは約6.15型。画面占有面積を最大化した液晶ディスプレイを採用。前後カメラの性能も充実させている。

エントリーモデルのP30 lite

 スマホのほかにも発表された製品はひとつが独自OSを搭載するスマートウォッチの「Huawei Watch GT」。42mmの本体サイズとして多彩なスポーツを自動判別しながらトラッキングできる機能や心拍センサーによるヘルスケア機能などを盛り込んだ。ディスプレイは約1.2型の有機EL。内蔵するバッテリーはフル充電から通常使用で約1週間のスタミナ性能を備える。発売は5月24日。価格はオープンだが、市場想定売価は20,880円前後を見込む。

Huawei Watch GT

心拍センサーも内蔵している

 もうひとつはワイヤレスイヤホンの「Huawei FreeLace」だ。本体に内蔵するバッテリーで約18時間の連続音楽再生が可能。本体のケーブルに内蔵されているUSB Type-C端子を、P30シリーズなどUSB Type-Cを搭載するスマホに直接つないでバッテリーを充電できる。本体はIPX5相当の防滴仕様。6月下旬から8,880円(税別)で発売を予定する。なおイヤホンとスマートウォッチはファーウェイ 楽天市場店のほかAmazonでの販売を予定している。

ワイヤレスイヤホンのHuawei FreeLace

ケーブルの途中を着脱するとUSB端子が現れる


■ユーザー目線での進化を感じたカメラ。スマホの将来像も描いてみせたい

 新製品発表会では多くの時間をP30シリーズの高性能なカメラ機能の説明に割いた。昨今は多くのプレミアムクラスのスマホがディープラーニングの技術やAIエンジンを載せた高度なカメラ機能を付加価値として打ち出している。写真のプロもうなるようなキレイな静止画・動画が誰でも簡単に撮影できる機能をP30シリーズも魅力としてアピールした。ゲストトークセッションに登壇した写真家の萩庭桂太氏も、P30 Proを試射した感想として、歩きながらシャッターを切っても手ブレを抑えた高精細な写真が撮れたり、真っ暗な室内でも明るさや色合いを鮮やかに捉えた写真を記録できる高感度性能を押していた。

動画撮影を広角と望遠、両方のレンズで撮れる機能を搭載

遠くにある東京タワーの模型が高精細にズーム撮影できる

 ファーウェイのPシリーズは、昨年発売されたP20 Proから高倍率ズーム撮影の画質と、手ブレを高度に抑えられる安定感を備えたことから高い評価を受けている。筆者も新しいP30 Proを発表会場で試してみて、50倍ズーム撮影の高い完成度を体験した。これは日常の風景撮影や旅行の記録として写真を撮影する際にとても役に立ちそうだ。

P30 Proは最大50倍ズームの望遠撮影に対応

 ファーウェイに限らず、最近のプレミアムクラスのスマホはあまりに多機能であるがゆえに、1度や2度説明を聞いても端末全体の魅力が捉えづらくなっている。筆者は過去のファーウェイの新製品発表会に参加した際に、登壇者が端末の新機能を読み上げることに四苦八苦ししている様子を何度か目の当たりにしてきたが、今回のP30シリーズの紹介について、カメラ機能は「カメラそのものに詳しくない人」であっても、例えば「ズーム機能で月が驚くほどキレイに取れること」や、動画配信アプリなどをコミュニケーションツールとして活用するユーザーにもうれしい「動画のズーム撮影もブレない」高機能の魅力を、用途の方向から強くアピールできていた解説がとてもわかりやすく好感が持てた。

カメラは多機能なので、その全てを把握しにくいところがある。便利なものはアプリ化して切り出すのも一手かもしれない

P30 Proは夜空の月もAIエンジンで綺麗に撮影できる

 ただ、これほど高機能な端末の発表会を1時間で収めなければならないため致し方のないことなのかもしれないが、カメラとデザインの魅力をアピールすること以外に、例えばファーウェイがスマホというツールで今後どんなことをできるようにしたいのかであったり、スマートホームやIoTの中核としてスマホの未来をどのように描いているのかなど展望も聞きたかったと。スマホの価値がいま、端末の機能や価格だけでは差別化することが難しくなっているのだとすれば、スマホの周辺に豊かさを感じさせるライフスタイルをユーザーに提案することが、これからメーカーに求められることだと思うからだ。

■米国の規制政策にも言及

 今回のP30シリーズの発表会に登壇したファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏は、同社がこれまでに9万を超える国際特許を取得してきた企業であることについても触れた。呉氏は「ファーウェイはグローバル社会の発展に寄与するために全力を注いできた企業」であると述べ、昨今アメリカがファーウェイに対して掲げている規制政策に対して粘り強く立ち向かっていくとコメントした。

ファーウェイデバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏

 なお、ファーウェイは米商務省が輸出管理規則に基づく禁輸措置対象のリスト(エンティティリスト)に同社の商品を追加したことについて反対するステートメントを5月16日に発表している。この内容を受けて、呉氏も発表会の壇上で「この決定は誰の利益にもならない。ファーウェイが取引するアメリカの企業にも経済的に大きな損失をもたらすだけでなく、アメリカ国内の雇用低下、国際的なサプライチェーンの信頼を分断させるものである」としながら、可能な限り早く救済策を探りながら解決の道を見つけたいと述べた。

 そして今回の米中貿易摩擦の影響によるものなのか、今週に入ってから米GoogleもファーウェイのAndroid端末に対するサポートを停止する検討を始めたと海外の媒体が報じている。ファーウェイの端末を現在使っているユーザー、そして今後P30シリーズの購入を検討している方にとっても気がかりなニュースだ。呉氏は報道の詳細には踏み込まなかったものの、本件に対するファーウェイの立場について「当社はAndroid OSとスマートフォンの発展とと成長に大きな役割を果たしてきた。ユーザーや産業にとって有益なエコシステムを引き続き発展させていく覚悟だ。日本国内でファーウェイとオーナーブランドから販売されているスマホ・タブレットは、今後も継続的なセキュリティアップデートとアフターサービスをご利用いただけることに変わりはない。当社は常にユーザーのために優れたサービスを提供できるよう、安全で継続的なソフトウェアシステムの提供を続けていく。日本のユーザーの皆様にもぜひ安心して今後も端末を使い続けて欲しいと思うし、新製品にも関心を寄せてもらえれば幸いだ」と語った。

《山本 敦》

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