【インタビュー】“グレイヘア”が話題の近藤サト「男性こそグレイヘアがカッコいい!」
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4月に発売した自身初のエッセイ集「グレイヘアと生きる」(SBクリエイティブ)では、近藤がグレイヘアにしたきっかけや、グレイヘアを通して年齢にあらがうことなく、清々しくさっそうと生きることの素晴らしさを伝えている。
そんな近藤がRBB TODAYの単独インタビューに応じ、グレイヘアに変貌を遂げた理由や、フジテレビの女子アナ時代の同僚や家族の反応、男性のグレイヘアとの付き合い方について語った。
――グレイヘアにしようと思ったきっかけや、心境の変化を教えてください。
近藤:もともと私は若白髪で、20代後半から若白髪が出てきてポイント染めをしていたんです。30代、40代になってからは毎月染めるようになって、皮膚がかぶれたりと苦労していたので、いつかは白髪にしたいなという願望がありました。
その後、東日本大震災が起こって、防災グッズを自宅で準備していたときに、緊急時は自分で髪を染めないといけないんだなって白髪染めをたくさん買いそろえている自分がいて…。そこで自分の考えの浅はかさに気が付きましたね。そもそも私は何で髪を染め続けなきゃいけないんだろう?って立ち止まって考えるきっかけになりました。
――フジテレビの女子アナ時代から、白髪染めをしていたのでしょうか。
近藤:していましたね。女子アナは若さが売りの仕事なので、「フジのアナウンサーたるもの白髪を見せてはいけない」という思いがありました。人前に出る仕事ですし、アナウンス部の先輩方も染めていらしたので、当時は20代ですし、白髪を出すという選択肢がなかったですね。
――ナレーターに転身されたことも、グレイヘアデビューのきっかけになっているのでしょうか?
近藤:はい。私は9年前にナレーターに転身した時に、顔を出す仕事はもうなくなってもいいと決めたので、テレビに出て視聴者の方に不快な思いをさせるようなこともないだろうということで、グレイヘアにしようと決断しました。
――初めてグレイヘアでTV出演したときの率直な気持ちは?
近藤:「やっと」っていう感じでしたね。グレイヘアにするためには、染めていた髪が全て白髪になるための「移行期」というのがあって1年~2年と長い期間がかかるんです。この「移行期」は、富士山の初冠雪のように根本の5センチくらいが白髪だったりするので、その状態でテレビに出るのは視聴者の方にとっては不快だろうという思いもあって、部分染めをしながら出ていました。なので、1日も早く「本当の私の姿はこうです」と言いたかったというのが本音ですね。
――全国区では『バイキング』(フジテレビ)に出演されたことで注目を集めました。『バイキング』やその他の番組の共演者の反応はどうでしたか?
近藤:反応はそれぞれ面白かったですね。ついこの間まで黒髪だったのに、急に真っ白になって出てきたので、ほとんどの方がびっくりして言葉を失っていました。その中で、坂上忍さんだけは「いいねえ、サトさんくらいに白かったら、白髪もいいな」と言ってくださって。明石家さんまさんも「ええなあ」って言ってくださりました。
――河野景子さんやフジの黄金時代を共に支えた同僚の皆さんは、どう話していますか?
近藤:その時代の仲間とは、今でも仲が良くてしょっちゅう会っているのですが「いいと思うわ」とか「ステキね」って言ってくれますよ。みんな大人だしアナウンサーだから、誉め上手ですからね(笑)。
――男性のグレイヘアについてはどう思いますか?
近藤:すごくいいと思います! 男性は昔から「ロマンス・グレー」というとてもいい呼称がありますよね。白髪だけじゃなくて薄毛に対してもそうですけど、男性が思っているほど女性は男性の白髪や薄毛に対してネガティブな印象を持っていないんです。女性はその人の本質や性格がどうかというところを見ているので、もし女性にモテなくなるという理由で白髪染めが止められないという方は、すぐに止めて欲しいなって思います(笑)。ナチュラルに自分を出して白髪でいる男性のほうが、女性は信頼できる気がしますね。
――個人的には、故・筑紫哲也さんなんかは似合っていると思いますが、この人はグレイヘアが似合いそうという男性は?
近藤:私は男性は皆さんにすすめているのですが、この間は山路徹さんが「絶対にお似合いになる!」と思っておすすめしました。山路さんが「真っ白なので白髪染めを止めたいんだけど、どうかなあ」と相談してきたので、「絶対にお似合いになるからやってください。イメチェンですよ!」と言ったら「じゃあ、サトさんに言われたからやってみようかな」って。最近は陣内孝則さんも綺麗な白髪ですよね。みなさん、デヴィッド・ボウイみたいで本当にカッコ良いですよ。
――サトさんの旦那様もグレイヘアなのでしょうか?
近藤:はい、夫は結婚した当初から真っ白で、人生で一度も染めたことがないんです。なので、子どもが幼稚園や小学校のときは、よく夫はおじいちゃんと間違われていましたね。
――息子さんや旦那さんの反応は?
近藤:夫は欧米人を相手に仕事をしていて、日本のように白髪=老いという感覚はなくて、そのヘアスタイルや色が本人に似合っているか、綺麗か綺麗じゃないかの方が大事だと言っているので、私のグレイヘアも「もっと白いほうがカッコいい」って言われるくらいです。14歳の息子も「白髪染めをしている髪が伸びてきて、染めていることがバレる方がダサい」と言っていて、抵抗はなかったですね。
――男性は、グレイヘアとどう付き合えばよいのでしょう?
近藤:自信を持つべきだと思います。グレイヘアにすると決めたのに、途中で“出戻り”する男性ってすごく多いんですよね。男性は潔く坊主にしたり、半年も我慢すれば綺麗なグレイヘアになれるのに、「移行期」に髪が白くなっていく自分に耐えられずに白髪染めに戻ってしまう人は、やっぱりどこか自分の中に自信のなさがある気がします。社会的な地位や経験があるのだから、白髪染めに頼らずにグレイヘアの方が説得力があって素敵だなって思う男性もたくさんいるんですけれどね。
――「人生100年時代に画一的な生き方はしたくない」と著書に書かれていましたが、残りのキャリアの計画は?
近藤:ナレーターの仕事を極めていきたいと思っています。ナレーターはアナウンサーとは全く違いますし、上手な方がたくさんいるので、その中でどう極めていくのかが戦いです。今注目していただいているグレイヘアは私の生き方なので楽しめるのですが、やっぱり声の仕事が主戦場なので。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
近藤:男性もぜひグレイヘアにチャレンジしてほしいなと思います。これからはもっと個性や多様性を認め合う時代になっていくので、白髪染めを止めたいなあと躊躇している方は、ぜひ潔いグレイヘアがおすすすめですよ。
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