丸山桂里奈、東電時代の元上司への後悔語り涙「こんなに心残りが……」
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それが、東日本大震災の際、福島第一原子力発電所事故で原発所長として収束作業を指揮した吉田昌郎さん。丸山は大学卒業後の2005年に東京電力に就職。福島第一原子力発電所に配属されたが、吉田さんはその上司だった。
彼女はOLとして働くかたわら、同時に立ち上がったL・リーグ(現・なでしこリーグ)の東京電力女子サッカー部「マリーゼ」に入団。当時チームは強くなかったが、そんな選手たちに誰よりも寄り添ってくれていたのが吉田さんだったという。
「君達はサッカーをやるために入ったんだから、サッカーだけ頑張ればいいんだよ。会社のことなんて気にするな」と励ましてくれたそう。さらに丸山から持ち掛けられる試合の相談など、何でも親身になって聞いてくれたのだとか。
丸山の大きな支えとなったもう1つの大切な存在が、マリーゼの寮があった双葉町の人々。そこは実家を出て一人暮らしをした初めての土地。「丸山ちゃん、次の試合も絶対見にいくから」などと声をかけてもらい、その優しさに何度も救われたという。
だが2011年3月11日、東日本大震災が発生。吉田さんは事故からの復旧作業を不眠不休で指揮。そんな吉田さんら会社の方々、さらには町の人々に、丸山は「今度は自分が力になりたい」と、7月の女子W杯ドイツ大会での活躍を誓う。そして、これまで一度も勝ったことのなかったドイツを自らの決勝ゴールで下し、なでしこジャパンのW杯初優勝に貢献した。
そんな活躍に対し、周囲の仲間は、吉田さんからの伝言として「ナイスゴールでした」と言っていたという。だが「(直接電話したりメールするのは)今は迷惑だろうな」と思っているうちに結局、優勝報告は直接できなかったそう。
そんな吉田さんは同2011年11月、ステージ3の食道がんが見つかり入院。その2年後の2013年7月に帰らぬ人となる。かつての上司の死に、彼女は目に涙を浮かべながら、「今思えば(吉田さんに)メールを打っておけばよかった」と述べ、「こんなに心残りがあることってあるのかな」と後悔を口にしていた。
また震災当時、サッカー施設だった「Jヴィレッジ」も原発事故の前線基地に。今年4月に全面再開を果たしたが、その頃の状況について「ピッチの芝も作業員の方のプレハブ小屋になった」と丸山は振り返り、「涙がホントに止まらない。だから……何ていうのかな……」と、福島への思いがあふれたのか、涙で言葉を詰まらせていた。
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