これは災害や経年劣化などによる文化遺産の損壊、地域の伝統技術の後継者不足などの現状を受けて、有形無形の文化財をデジタルアーカイブとして保存しようという取り組み。そのコンセプトを伝える場所として、11月1日から体験型美術展「Digital×北斎【序章】」を、記者会見が行われたNTTインターコミュニケーション・センター(東京オペラシティタワー内)で開催する。
■文化財をデジタルアーカイブ化し、それを活用する
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NTT東日本 営業戦略推進室 部長 酒井大雅氏によると、同社では地域に拠点を構える中で、地元が抱えるさまざまな課題を解決してきたという。その中の一つが文化芸術の担い手不足だ。

この文化芸術には、「農業」「窯業」「醸造業」「養殖業」「地域祭事」などがあるという。製造業であれば勘や経験に頼っていたスキルを、映像やICT技術を駆使して、具体的なデータとして継承できる形にして記録。木更津の花火大会では、遠隔監視にともなう効率的な配置によって、警備員の不足に対応したという。
「熊本城が地震で、ノートルダム大聖堂が火災によって損傷した際も、データが残っていたことで復元の可能性が残されました。また、文化芸術の魅力を発信するということは、その地域が活性化することにもつながります。ARや3D、プロジェクションマッピングなどの技術を駆使すれば、より多くの方の関心を集めることもできるでしょう」(酒井氏)
なお、収蔵したアーカイブの保管場所としては、同社の通信ビルの特性が活きてくるという。そのメリットは大きく2つあるようだ。
・セキュアな環境を確保できる
・大容量コンテンツを低遅延で配信できる

「Digital×北斎【序章】」では通信ビルの実証実験用サーバーに保存された、葛飾北斎の浮世絵が数点、VPN回線経由でモニター展示されていたが、4K画質で絵の質感をかなり忠実に再現していた。
また、近年では博物館などでもデジタルアーカイブ化が進んでいるが、万が一に博物館が被災したら、サーバーも損傷する可能性がある。その預け先としても、セキュアな環境を確保できる同社の通信ビルは、相性が良いということだ。