それが、東京・浅草にある「捕鯨舩」の“牛煮込み”。ビートたけしが若い頃に通った店で、彼の歌う『浅草キッド』の歌詞の中にも出てくる名店。これに影響され、様々な芸人がやってきてはサインを残して帰っていくという。ひとりも店について「芸人にとっては憧れの場所、聖地」と言いながら、芸人仲間で店を訪ねたときの話を披露。
その時、あいにく店が閉まっていたのだという。だがシャッターが少し開いていたため、ひとりがその隙間から「1杯だけ飲めませんかね」とお願いした。すると女将さんが彼の顔を見て「何か見た顔だね。いいよ入んな」と迎え入れてくれたという。
そこで煮込みを食べながら、「たけしさんって昔どこに座ってたんですか?」などと聞いたりして盛り上がること約1時間。会計をすることになったのだが、なんと「いやいい、お代いらない、いらない」と逆に断られたそう。
その理由は女将さん曰く、「たけしさんが『若いヤツが来たときに、これで飲ませて』ってお金を置いていってくれてる」とのこと。このエピソードにひとりは「やっぱりシビれる」と、たけしの懐の広さに感激していた。
VTRでは、「捕鯨舩」の大将・河野通夫さんが登場。「普通のモツとはちょっと違う。小腸は少ししか脂身がないが、その中でも脂身が多い小腸を厳選している」と美味しさの秘密を明かした。
さらにその仕込みの過程にも密着。毎日9キロのモツを仕入れて煮込むそうだが、河野さんは「アクをいかに辛抱強くキレイに取るか。それをアクなき戦いとも言う」とダジャレを放った。
そんなことを言いながら出来上がったのは、柔らかい牛モツを甘めのタレで煮込んだシンプルな一皿。入り口に一番近い大鍋で煮込まれている、まさにこの店を訪ねたら必ず頼みたい料理だ。
ひとりは、これを食べたときの感想として「めちゃくちゃ嬉しかった」と振り返り、「ふと(入り口の)扉を見ると、若い頃のたけしさんが入ってきそうな、そんな雰囲気がある」と、語り聞かせていた。