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日本で始まった5Gサービス、3キャリアの特徴を比較

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日本で始まった5Gサービス、3キャリアの特徴を比較
日本で始まった5Gサービス、3キャリアの特徴を比較 全 7 枚
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2020年3月末から日本でもようやく5Gサービスが始まった。ドコモ、KDDI、ソフトバンクそれぞれの特徴を、料金・端末・サービス・エリアの4つに分けて分析してみた。


5G開始で実質的な「定額料金」を3社が提供



5Gサービスの料金プランは3社が「定額」をうたう料金を提供している。ライトユース向けの低価格な5G料金プランも提供しているが、5Gの高速大容量データを使うことを考えるとすぐにデータ上限に達してしまう。そのため3社のパフォーマンスは定額プランで比較するのが妥当だろう。

ドコモの「5Gギガホ」はデータ上限100GBだが、期間未定でキャンペーン中は上限なしの使い放題としている。2年契約を行わない場合の料金は7650円/月(税別、以下同)と3キャリアの中で一番安い。各種割引を受けることで最大6か月間は4480円/月で利用できる。



KDDIの「データMAX 5G」はデータ利用無制限の完全定額料金。基本料金は実は8650円/月と3キャリアの中で一番高い。一方割引後の価格は最大6か月間3460円/月と一番安い。



ソフトバンクの主力料金は「メリハリプラン」だが、データ容量は50GBしかない。とはいえYouTubeやインスタグラム、Twitterなど主要な動画・SNSサービスが無制限で使えるため、事実上定額としてアナウンスされている。メリハリプランは8480円/月、割引適用で2か月目から7か月目が3480円だ。

3社とも割引後の料金を大きく表示することで5Gへの加入の敷居を下げようとしているが、最大割引で利用できるのは半年ほど。現時点では5Gの利用できるエリアが狭く、半年後もまだ全国展開とはならない。つまり5G契約したにもかかわらず、5Gを体験しないうちに支払額が上昇してしまうケースが多いと思われる。

そのためしばらくは一般消費者が5G契約をするのはお勧めしにくい。今すぐ5Gを契約するのは「自分の勤務地や自宅付近が5Gエリアである」、「5Gを体験するためならば、自分から5Gの使える場所へ出向いて利用したい」、そして「5Gスマートフォンの機能に興味がある」といった層向けと言えるかもしれない。

さて3社の料金を比べると、ドコモは割引サービスがシンプルで料金詳細がわかりやすい点に好感が持てた。またソフトバンクは4Gプランにプラス1000円で5Gが利用できるという明快なアプローチをとり、その1000円は2年間割引される。実質4Gと同じ料金で利用できるためユーザーも迷いなく5Gへの移行を考えやすいだろう。

KDDIは様々な割引を提供しているが、3社の中で1番わかりにくいと感じられた。しかしKDDIはNetflixや動画サービスをセットにした「データMAX 5G Netflixパック」「データMAX 5G ALL STARパック」を提供(予定)としており、5G時代のスマートフォンの使い方を先取りしていると言える。


5Gスマホの展開は3社3様。ハイエンドのドコモと、すべての人向けのKDDI



5Gスマートフォンはドコモ 7機種、KDDI 7機種、ソフトバンク 4機種が登場する。

ドコモはソニー「Xperia 1 II」、シャープ「AQUOS R5G」、富士通「arrows 5G」と日系3社を揃え、すでに各社の端末を使っているユーザーのアップグレードも万全の体制としている。また5Gスマートフォンではすでに世界シェア1位のサムスンから「Galaxy S20」「同S20+」「同オリンピックモデル」を採用。さらには2画面を活用できるLGの「V60 ThinQ」も発売になる。なおGalaxyのオリンピックモデルが販売されるかどうかは不明だが、機能としてはGalaxy S20+と同等だ。



ドコモの5Gスマートフォンはいずれのモデルも税込み10万円を超える高価格帯・ハイスペックモデルだ。つまり5Gのサービスを充分に味わってもらうための製品を揃えているのである。ちなみにドコモの5Gサービス発表時には4Gスマートフォンも発表されたが、これは5Gがまだ不要と考えるユーザー向けの製品である。つまり5Gユーザーと4Gユーザーを明確に区分する、これがドコモの考えのようだ。

KDDIの5Gスマートフォンはドコモと同じ7機種だが、その内訳は大きく異なる。「Xperia 1 II」「AQUOS R5G」「Galaxy S20」「同S20+」とハイエンドモデル4機種はドコモに倣った品ぞろえ。一方残りの3機種はZTE「a1」、OPPO「Find X2」、シャオミ「Mi 10 Lite」と中国メーカーを揃えた、このうち「z1」と「Mi 10 Lite」は価格がかなり安くなることが予想される。ちなみに「Mi 10 Lite」の海外の価格は349ユーロ、4万円強だ。

KDDIは5Gのフルサービスを利用するユーザーだけではなく、既存の4Gユーザーをまずは5Gへ移行させようと中国メーカーのスマートフォンも積極的に対応している。つまりライトユースのユーザーもとにかく5Gへ移行してもらおうと考えているのだろう。



ソフトバンクは4機種とラインナップは少なく、「AQUOS R5G」とLG「V60 ThinQ」でハイエンド層をカバー。ZTE「AXON 10 Pro 5G」とOPPO「Reno 3 5G」は中低位利用層向けだ。上位モデルは「8Kビデオ」「2画面」、下位モデルは「低価格」とポイントをうまく絞ったラインナップになっている。但しXperiaがラインナップに無いため、端末の魅力に乏しいと考える消費者も多いかもしれない。



このように5Gスマートフォンの展開は3社で異なっており、各社の5Gサービス開始時の思惑がそれぞれ明確に表れている。しかし3月末時点で発売になったモデルは「AQUOS R5G」「Galaxy S20」「AXON 10 Pro 5G」のみに留まり、しばらくは5Gを様子見と考える消費者も多そうだ。「Xperia 1 II」が発売になる4月下旬のころは5Gエリアも広がっていることを望みたい。


5Gのキラーサービスは3社が試行錯誤中



高速・低遅延・同時多接続という5Gの特性を生かしたサービスを3キャリアが開始した。海外ですでに5Gサービスを提供しているキャリアは「5Gならでは」というキラーサービスを提供しきれていないのが実情だが、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは自社の強みを生かしつつ、日本の消費者にマッチしたサービスで5Gの魅力を伝えようとしている。

なおB2B向けのサービスも発表されているが、今回はコンシューマー向けのビジネスのみを比較する。

5Gの特性を生かしたサービスを多数提供するのがドコモだ。4G時代からサービスしている、「新体感ライブ CONNECT」は新たに8KのVRライブが追加された。8KかつVRのコンテンツ配信は5Gだからこそ実現できる。興味深いのは日本と中国で同時に開催されるVRライブ配信「以心伝心有?犀-Borderless Live 5G-」をドコモだけではなく中国のチャイナモバイルも配信すること。コンテンツ分野で海外の5Gキャリアとの連携・提携の動きが早くも進みそうだ。他にはクラウドゲームやタテヨココンテンツなど、日本人好みのコンテンツを揃えている。

映像配信ではJリーグ鹿島アントラーズのスタジアムでリプレイや成績表示などのを提供するマルチアングル視聴も提供。これも5G回線がなくては実用できないサービスといえる。他には卓球のTリーグとの協業も発表されており、卓球の魅力伝達にひと役買いそうだ。

KDDIはSHOWROOMやJリーグ名古屋グランパスと提携し、高品質動画やAR/VRコンテンツを提供。ライブホールや渋谷の街で実際に体感できるARコンテンツなど、4G時代には提供できなかったサービスも積極的に投入する。教育向けの「AR飛び出る絵本(仮称)」はスマートエデュケーション向けのコンテンツでもあり、リモート学習の普及にも役立つだろう。そして料金プランでも触れたが、動画コンテンツサービスのセット提供は5G利用者が5Gのメリットを真っ先に感じることができる。



ソフトバンクは5Gを使いアイドルとの距離感を疑似的に無くすコンテンツが売りだ。「AR SQUARE」はアイドルといつでも写真を撮れ、「VR SQUARE」ではアイドルライブで推しメンを中心に視聴もできる。この2つのコンテンツはソフトバンク5Gのキラーサービスになるだろう。他にはプロ野球の福岡ソフトバンクホークス、バスケットボールのBリーグの試合のARやマルチアングル放送が提供される予定だ。

3社とも5Gのコンテンツは若い層に興味を持てるものが多く、5Gへの関心を向かせるには十分なものが揃っていると言える。とはいえまだ特定層向けのコンテンツに偏っていることから、今後の拡充を期待したいもの。また後述するように5Gコンテンツをストレスなく利用できるように、エリア拡充は早急に行う必要がある。なお他国には無い日本発のコンテンツを用意していることから、気が早いものの海外の5Gキャリアへコンテンツの提供といった新たなビジネスも期待できる。


サービスエリアはスポット的、5G開始時点では不合格レベル



5Gの魅力を伝える広告が展開され、VRやARを使った5G時代ならではのスマートフォン・スマートデバイスの使い方を3社はアピールしている。しかし5Gの使えるエリアはかなり限られており、現状では5Gスマートフォンを買っても使える場所をユーザーが探して出向かなくてはならない。

2020年4月頭時点での5Gエリアは各社ともスポット的であり、そのエリアを歩きながら利用できる状況には程遠いようだ。ソフトバンクの5Gエリアは主要駅などを中心に面展開されているように見えるものの、それでも不十分と感じられる。スタジアムや競技場への5G展開も必要だろうが、多くの消費者に5Gを「日常」として体験してもらうのであれば、カフェチェーンなどと協業して店内での5G利用を可能にするなどいつでも利用できる場所を増やしてほしいところだ。

なおドコモは自社ショップの一部店舗を5Gサービスエリアにしている。5Gのデモを受けるには最適な場所ではあるものの、ドコモショップに契約関係の用事以外で立ち寄るのは敷居が高い。5Gエリアになっているドコモショップは、5G契約者が店内で自分のスマートフォンを使った5G体験をできる雰囲気作りをしてほしいものだ。

鳴り物入りで開始した5Gだが、サービスエリアに関しては3社とも現時点では似たり寄ったりの状況だ。5Gはスマートフォンの利用だけではなく遠隔医療やリモートオフィスなど社会サービスを変える新たなインフラになるだけに、エリアの拡大が早急に望まれる。KDDIとソフトバンクが「株式会社5G JAPAN」を立ち上げエリア拡大を進めていくが、ドコモや今後参入する楽天との提携なども今後検討してほしいものだ。

<TEXT:山根康広>

《RBB TODAY》

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