大工職人の父のもとで生まれ育ったヒロミは片付け上手。一方、伊代は飲んだ後のコップが何日も放置されていても平気で、食事の後片付けも大の苦手。シンクに皿や鍋などが山盛りになっていても片付けるのが面倒くさいと感じ、それをつい引き伸ばしにしてしまうのだという。そのたびにヒロミは愚痴をこぼしながらも片付けてくれていたのだとか。
だがそんなヒロミも、ある時ついに怒りが頂点に達したときがあったそう。それは家でステーキを焼いたとき。伊代は、本来なら塩が入っているはずのボトルになぜか砂糖を入れておいたという。
それを知らずにステーキに振りかけたヒロミ。「味が変だね」と言いながら食べていた時、伊代が思い出して「そうだ。パパごめん。あれ砂糖」と切り出すと、ヒロミはナイフとフォークを置き、「もうママと生きていく自信がない」と三行半を突きつけたという。
ヒロミが離婚をほのめかすような発言をしたことについて阿川佐和子は「それまでの積み重ねがあったのか」と聞くと、伊代は「あとから聞くと、そんなようなことを言っていた」と、すでに発火寸前だったと説明した。
それ以来、伊代が謝ってもヒロミは一切口をきいてくれなかったという。ただし食事は作ると食べてくれていたため、彼女は「これで食べててくれなかったらほんとに本格的だな、ほんとに離婚届かなと思った」と回顧。阿川が「離婚の覚悟もしていた?」と尋ねると、伊代は「ちょっと真剣味を帯びてた雰囲気だった」と語った。
口をきいてくれない“冷戦期間”は2か月間くらいあったという伊代。だが最終的にはだんだんヒロミも黙っているのが逆につらくなったのか、喋ってくれたり、変顔をしてリアクションしてくれるようになり、夫婦仲が復活したと語っていた。