そうはいっても夏に食べるそうめんの魅力は捨てがたい。そこで筆者がお勧めするのがコンビニでも買える紀文の「とうふそうめん風」だ。
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「とうふそうめん風」。見た目はそうめんなのに成分はとうふ。いくら食べても太らないかもしれないという免罪符を与えられたような食品なのだ。
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「とうふそうめん風」はそうめんのように細い「麺状とうふ」140gにつゆが付属している食品だ。コンビニで見かけたものはそうめんの風味を味わえる「麺つゆ」(18g)付きか、焙煎ごまをつかった「ごまつゆ」(15g)付きの2種類。それぞれ198円(税抜き)だった。生ものということから要冷蔵食品で、自宅に持ち帰ったあとは冷蔵庫の中など10度以下で保存する必要がある。
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成分は麺状とうふがエネルギー78kcal、タンパク質5.2g、脂質3.2g、炭水化物8.3g(糖質6.0g、食物繊維2.2g)、食塩相当量0.01g。ちなみにそうめん100gあたりの主な成分はエネルギーが127kcal、脂質0.4g、炭水化物は25.8g。とうふそうめん風は原料がとうふということから脂質はそうめんより多いものの、炭水化物はかなり少ない。
なお、めんつゆを含むとエネルギーや脂質、炭水化物量は若干増える。麺状とうふとつゆを合計した主な成分は、麺つゆ付きが101kcal / 脂質3.2g / 炭水化物13.2g、ごまつゆ付きが109kcal / 脂質4.7g / 炭水化物11.8g となる。
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「とうふそうめん風」が本物のそうめんより優れている点は2つある。まずは茹でずにそのまま食べられるということ。そうめんは一般的に冷たくして食べるものだが、まずは乾麺を茹でなければならない。そうめんの茹で時間は2分もかからないが、夏の暑い日にお湯をわかす気にはなかなかなれないだろう。またゆでおわったあとは鍋の中にぬるぬるしたものが残るので、しっかりと洗わなくてもならない。100gのそうめんを食べようと思っても意外と面倒なものだ。
「とうふそうめん風」はパッケージを開くと、四角い容器の中にそうめんのように細い麺となったとうふがはいっている。食べたいときは容器の2か所を開いて水を捨ててるだけでよい。「茹で」「洗い物」という面倒な2つの行為が不要なのだ。
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また1人前のつゆが付属しているので、そうめんをゆでたものの「つゆを買い忘れていた」なんて悲劇もおきない。なお今年になってまだそうめんを食べていない人は、冷蔵庫の中を今一度確認してほしい。おそらく去年開封したものの半分もつかわず賞味期限が切れてしまった麺つゆが見つかるだろう。ネット上では「1年前でも大丈夫」なんて声も聞かれるが、やはり新しいものを買ったほうがよいと筆者は思う。
このようにメリットばかりが目立つ「とうふそうめん風」だが、「本当に美味しいのか?」「本当にそうめんみたいな食感なのか?」と多くの人が疑問に思うだろう。実は筆者もコンビニで見かけるたびに全く期待していなかった。たまたま深夜の仕事中に小腹が空いたのでコンビニに向かったところ、おにぎりや弁当類が売り切れで仕方なく手に取ったのが「とうふそうめん風」だった。炭水化物が少ないので深夜に食べても眠くならないだろう、ということもあり思い切って手に取ったのだ。しかし今ではほぼ毎日食べるほどハマってしまっている。
「とうふそうめん風」のパッケージを開けると、麺状とうふが入った容器とその上につゆが置かれている。小さいフォークでも入っていればどこでもすぐに食べられるが、コンビニではレジ袋を廃止するなどエコな動きも広がっている。外で食べるなら購入時にフォークをもらえばいいだろうし、自宅ならばお箸もあるだろう。
麺状とうふは容器の上部に記載されている通り、対角線の部分を少し開いて中の液体を捨てる。開けすぎると麺が出てきてしまうので、インスタント焼きそばの湯切りのように慎重に水切りしたい。
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あとは付属のつゆをかけるだけだ。つゆの量はやや少な目なので、そうめんのようにつゆに浸して麺を食べるのではなく、麺につゆをかけてから混ぜて食べるのがよい。自宅につゆがあるならそれを使って本物のそうめんのように食べるのもいいだろう。ここから先の食べ方は自由だ。
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それでは肝心の味はどうだろうか。筆者の第一印象は「これ、本当にとうふなのか!?」という驚きだった。麺状とうふの食感は本物のそうめんと言われても気がつかないくらいなのだ。とうふだからやわらかくすぐに切れるものと思っていたのだが、箸で持っても切れることはなくそうめんのように食べられる。のど越しもよくどんどん口の中に入っていくほどだ。つゆの味も癖が無くて食べやすい。
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140gという量もちょうどよく、筆者はよく夜食に食べている。おにぎりなどを食べるとねむくなるが、「とうふそうめん風」なら眠気も起きにくい。一方、昼食用としては「とうふそうめん風」だけではやや満たされないので、何かおかずを1品つけくわえたほうがいいと感じた。冷房で冷え切ったオフィスの中で食べるなら、水を切った後に電子レンジで2分加熱して「温・とうふそうめん風」として食べるのもいい。
筆者の好きなアレンジは、コンビニのサラダにとうふそうめん風を混ぜる食べ方。とうふそうめん風の麺はそうめん同様に他の食材の味をスポイルすることが無い。この組み合わせで約400円、十分お腹がいっぱいになる。
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約200円でさっぱりとしたそうめんの食感が味わえ、しかもカロリーが少なくヘルシーなとうふそうめん風。まだ食べたことが無い人は、この夏ぜひ体験してみてはいかがだろうか?
(TEXT:山根康宏)