ブースの作業空間「STATION BOOTH」を体験
職場や自宅以外の「サードプレイス」に仕事の場を確保するスタイルは、コロナ禍以前から働き方改革などの観点で注目されつつあった。JR東日本が2019年から導入を進めるブース型の作業スペース「STATION BOOTH」もそのひとつだ。東京駅のブースを実際に利用してみた。
同サービスは、公式サイトで事前に会員登録を行いクレジットカードを登録すると予約が可能になる。日時や場所、使用時間などを選ぶと空いているブースの候補が提案されるので、利用するブースを選んで予約する。
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予約時間になったら、ブースの入り口の液晶パネルの操作後、サイトの予約画面に表示されているQRコードを使って入室。なお、ブースが空いていれば予約なしで利用することも可能だ。その場合は会員登録せずにSuica決済で利用することもできる。
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ブース内にはデスクと椅子、液晶モニター、エアコンが設置されており、デスクにはコンセント2口とUSBポート1口が用意されている。デスクの足元のスペースが広いので、荷物が多くても手狭だという感覚はあまりない。
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とくに便利だと感じたのが、外部モニターを利用できる点だ。HDMIケーブルも用意されているので、PCと接続すればすぐに2画面で作業を開始できる。
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ブース内で利用できるWi-Fiの通信速度は、下り約202Mbps、上り約165Mbpsと高速。Wi-Fiの利用に事前のメール登録などは必要なく、ブース内に掲示されているSSIDを選んでパスワードを入力するだけで接続できる。
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なお、公式サイトによると、ブースには防音対策が施されているとのことだが、今回スマホの騒音計アプリで測定した数値ではブースの内外ともに60dB前後とあまり違いは見られなかった。このブースは東京駅の総武線に向かう地下4階に設置されているが、利用した時間帯は人通りが少なく、聞こえてくるのは構内アナウンスの音声のみという状況だった。人通りの多い場所での雑踏の騒音であれば、また違うのかもしれない。
ホテル、カラオケなどもテレワーク向けサービスに参入
コロナ禍以降は、さまざまな業種がテレワーク需要に応えるサービスに参入している。3~4月には、東横イン、アパホテルをはじめとしたビジネスホテルがデイユース・日帰りプランを続々と開始。6月には東京都による都内のテレワーク可能な宿泊施設を探せるサイト「HOTEL WORK TOKYO」が公開されて利便性も高まっている。
また、カラオケチェーン各社もテレワーク向けのプランを提供。パセラは、3月から店舗の個室をテレワーク用のスペースとして使える「おしごとパセラ」を一部店舗で導入。ビックエコーは、2017年から導入していたビジネスプランを4月にリニューアルし、対象店舗数を拡大。現在は全国の店舗で利用可能となっている。さらに、カラオケ館も全国の店舗で同様のサービスを実施している。
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さらにカフェでも、テレワーク利用を意識した新たな試みが実施されている。スターバックスコーヒーが7月にオープンした「スターバックス コーヒー CIRCLES 銀座店」は、半個室のブース席が4席用意されていることが特徴だ。席は専用の予約サイトから40分単位で予約できる。また、同店には有料制のソロワーキングスペース「Think Lab」も併設。こちらは扉のついた個室型となっている。
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カフェ型から個室型へ、駅近から住宅街へニーズが移行
これらのテレワーク向けサービスは、いずれも個室・半個室だという点が特徴だろう。以前はカフェのようなオープンな空間でも、電源やWi-Fi環境を確保できれば仕事スペースとして機能したが、Web会議がビジネスでのコミュニケーション手段として欠かせないものとなった今は、そのような公共性の高い空間では不都合が多い。また、新型コロナ対策の観点から、カフェ型の空間よりも個室型のほうが安心だという利用者も多いだろう。
今後は、これまでサードプレイスとして利用されてきたカフェ型の施設に代わり、このような個室型の施設への移行がより進むのではないだろうか。また、これまでは「都心」「駅近」の施設が多かったが、テレワークで利用する場合は自宅からの通いやすさが重視されることになる。そのため、住宅街や郊外の施設のニーズも高まっていきそうだ。